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【インタビュー】アミ アレクサンドル マテュッシ、友達と“いいね”と言い合えるリアルクローズ

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アミ アレクサンドル マテュッシ(ami alexandre mattiussi)のデザイナー、アレクサンドル・マテュッシにインタビュー。

「アミ アレクサンドル マテュッシ」とは

アミ アレクサンドル マテュッシ 2020年春夏コレクション
アミ アレクサンドル マテュッシ 2020年春夏コレクション

アミ アレクサンドル マテュッシは、2011年にフランス・パリで創業したブランド。ブランド名に冠した「AMI」は、フランス語で「友達」の意味を持ち、ブランドの重要なコンセプトにもなっている。デザイナーのアレクサンドル・マテュッシにインタビューを実施し、ファッションの世界に入ってから今日までの道のりに迫った。

アレクサンドルたっての希望で、インタビューは日本旗艦店のアミ 表参道店で実施。来店客がショッピングをする様子を見ながら「世界中の人が自分の作った洋服を気に入ってくれている様子を見るのが、一番わくわくする瞬間」だと話す。

インタビュー前後にも来店客との写真撮影にフレンドリーに応じ、ショップスタッフに接客のアドバイスを行うなど、アレクサンドルの自然体な人柄やファンを大切にする姿勢を感じることができた。

バレエダンサーからファッションの道へ

Q.ファッションの道に進もうと思ったのはいつ頃ですか。

14歳の時にバレエを辞めてからです。4歳から10年間ずっとバレエに打ち込んでいたのですが、躍ることができなくなった90年代半ば、ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)、ティエリー・ミュグレー(Thierry Mugler)、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)が生み出す華やかなファッションに興味を持ちました。彼らが生み出すファッションは、バレエの舞台と同じくらい華やかなものだったから。

特にファッションショーは、洋服だけでなく演出や音楽、ヘアメイクといった全ての表現に一体感があって。バレエの舞台さながらにドラマティックで、総合的な表現が行われているところに惹かれて、ファッションの世界に入りたいと思うようになりました。

小麦畑をイメージした会場で発表したアミ アレクサンドル マテュッシ 2019年春夏コレクション
アミのショー演出も毎シーズン注目を集める
小麦畑をイメージした会場で発表したアミ アレクサンドル マテュッシ 2019年春夏コレクション
アミのショー演出も毎シーズン注目を集める

Q.学生時代にはどのようなことを学びましたか?

学校では“創造性をどのように表現するか”ということをひたすら学びました。

僕は20歳で学校を卒業したのですが、ちょうどその頃は、この世界を志すきっかけになった華やかなファッションの時代が終わり、プラダ(PRADA)、ジル サンダー(JIL SANDER)、グッチ(GUCCI)、ラフ シモンズ(RAF SIMONS)、ディオール(DIOR)のエディ・スリマン(HEDI SLIMANE)によるミニマルなスタイルが台頭してきた時代。僕は80年代から90年代前半のドラマティックな雰囲気とそれ以降のシンプルなデザインのどちらも好きなので、両方の影響を受けています。

Q.当初からメンズウェアを作ることにこだわりがあったのでしょうか?

実は、メンズウェアを作ることになったのは偶然だったんです。僕がファッションの学校に行き始めた1997年頃というのは、メンズを展開しているメゾンはあったものの、メンズコレクションを本格的に発表しているブランドは少なかった。丁度そのあたりの時期からラフ シモンズに代表されるような“メンズブランド”が徐々に登場して話題を集めるようになるのですが…。

そんな時代だったから、学校に通っている生徒も、基本的にはみんなウィメンズについて勉強していて。もちろん僕も初めはウィメンズを勉強していたのですが、最初に行ったインターンシップがたまたまメンズで、次に行ったのもメンズ、気づいたら卒業後もディオールでメンズのアシスタントをやっていたんです (笑)。

クラスメイトでメンズを勉強しているのは僕しかいないくらい、当時は貴重な存在だったと思います。

デザイナーのアレクサンドル・マテュッシ
デザイナーのアレクサンドル・マテュッシ

Q.卒業後、ディオールやジバンシィなどのトップメゾンでは、どのようなことを学びましたか?

実際に洋服を形作っていくのに必要なノウハウを学びました。学校で教えてもらったのは“クリエイティビティをいかに発揮するか”ということだけで、ディオールやジバンシィ(Givenchy)で洋服を作る技術の全てを学んだといっても過言ではありません。

ディオールではどんな生地を使って、どのように洋服を仕立てるのかといったメンズテーラードのノウハウを、その後のジバンシィでは1つのコレクションを作り上げるまでのプランニングやファッションショーについて学びました。その後マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)でも様々なことを吸収し、2011年に自分のブランドを立ち上げることになります。

自身のブランドの立ち上げへ

Q.自分のブランドを立ち上げようと思ったのはなぜでしょうか。

自分の表現したいことを、自分で伝えたいと思うようになったからです。

アシスタント時代には素晴らしい人たちと巡り合うことができ恵まれた環境にいたのですが、年齢的な意味でも、人の創造性を助けたり支えたりするアシスタント的な仕事から、自分のアイデアを自ら発信するステージへ進みたいと考えるようになりました。

デザイナーのアレクサンドル・マテュッシ
デザイナーのアレクサンドル・マテュッシ

Q.一からブランドを創り上げることに不安はありませんでしたか。

当時の自分にはきっと成功するだろうという過信ともいえる自信がありました。

ただ、ラフシモンズが登場してきた時代から時を経て、立ち上げの構想を練っていた2008年頃にもなると当然ながらメンズの分野でも既にたくさんの人気ブランドが世の中に存在しているわけです。周囲からは「今更新しいブランドを立ち上げるなんてやめた方がいい」「絶対に成功しない」「失敗するに決まってる」と散々言われていましたね(笑)。

でも、周りの言うことなんて気にせずにやってみよう、失敗したらその時は他のことでもやればいいや、と挑戦することにしました。

Q.当初はどのようなブランドを創ろうと考えていたのでしょうか。

「AMI」はフランス語で「友達」という意味なんですが、友達と話している中で「こういうものが着たいんだけど、なかなか無いよね」というような洋服を作ろうと考えました。

定番の白いシャツ、紺のパンツ、キャメルのコートといった誰もが気軽に着られるもので、朝ワードローブを眺めたときに「これじゃあちょっと派手すぎるかな」と悩むような突拍子もない形ではない。ディテールにもこだわってクオリティはものすごくしっかりしているけども、ものすごく高いわけでもない。手の届くくらいの価格帯の洋服を作ることにしました。

ブランド立ち上げ当初のアミ アレクサンドル マテュッシ 2013年春夏コレクション
ブランド立ち上げ当初のアミ アレクサンドル マテュッシ 2013年春夏コレクション

Q.洋服作りのインスピレーションになっているものは何ですか。

流れている音楽や、ふと目に留まった壁の色、人との会話など、日常に存在するあらゆるものです。

たとえば、今朝も東京を散歩している最中に、都会のビル街の風景とそこで佇む人が印象的で「あのグレーな感じの風景がすごくいいな、ああいう色で洋服を作ってみたら面白いかもしれないな」と、そういう思考回路になっているんです。誰もが日常を過ごす中で受けた刺激から発想を膨らませてアウトプットすることがあると思うのですが、僕の場合はそれを洋服で表現する才能があったんでしょうね。

ブランドの成長と変化

Q.ブランド立ち上げから2年後の2013年には、ANDAM賞※を受賞しましたね。

人生で最高の瞬間でしたね。2011年にブランドを立ち上げてから2年後という早い段階で自分が頑張ってきたことが報われたということ、業界の人から認められたということがとても嬉しかったです。

この受賞をきっかけに初めてファッションショーを開催することができたり、ウェブサイトを立ち上げることができたり、パリのPR会社と取引することができたりと、ブランドとしても転機となるできごとでした。デザイナーとしてもブランドとしても注目してもらうきっかけになり、本当に感謝しかありません。

※ANDAM賞:アンダム ファッション アワード(ANDAM fashion award)。フランスの権威あるデザイナー賞。

Q.その後もモンクレールやGAPなど様々なブランドとコラボレーションし、注目を浴びることになります。

2015年のモンクレール(MONCLER)は、コラボレーションの中でも一番気に入っているものです。2017年のGAP(ギャップ)も世界的に有名なブランドなので、多くの人にアミ アレクサンドル マテュッシを知ってもらうことができました。

その他にもイーストパック(EASTPAK)やケーウェイ(K-WAY)など共感できるブランドとコラボレーションしてきましたが、お話をいただいてるすべてのブランドと手を組んでいるわけではありません。自分らしさを失ってまでコラボレーションをする必要は無いと考えているので。

Photos(36枚)

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