アミ アレクサンドル マテュッシ(ami alexandre mattiussi)の2020-21年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年1月14日(火)、フランス・パリで発表された。
2019年秋冬シーズンよりウィメンズウェアを本格ローンチしたアミ アレクサンドル マテュッシは、これまでと変わらずメンズとの合同ショー形式で3シーズン目を披露。今シーズンは、デザイナーのアレクサンドル・マテュッシが抱いてきた演劇への情熱と、ファッションを融合させたコレクションだ。
幼い頃にバレエダンサーの夢を諦めたアレクサンドル。そんな時、ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)やクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)が生み出す、バレエの舞台に匹敵するほど華やかなショーに魅せられ、ファッションの道を志した。
役者、セットデザイン、照明、音楽、そして衣装の全てが一体となった総合芸術という点で、演劇とファッションショーには通じるものがあると話すアレクサンドル。そんな彼が選んだ今シーズンの舞台は、パリの劇場「ル・トリアノン」だ。ランウェイにはきらきらと煌めくスパンコールのドレスや、艶やかな光沢を湛えたフリルのブラウスなど、観客の目を惹くドラマティックなピースが揃う。
ブランド誕生から9年を経た今シーズンは、戦略的にベーシックウェアの制作に取り組んでいたというこれまでと比べて、より自由な発想でクリエーションを行っている点も垣間見える。これまで大切にしてきたパリのエスプリを根底に置きつつ、どこかミステリアスなピースを生み出した。
アイテムそのものに注目するとテーラードジャケットやプリーツスカートなど、フレンチシックを代表するベーシックウェアが中心だが、漆黒のパレットに深みのあるパープルや深紅のようなレッド、鮮やかなブルーなどパワフルな色彩をミックスすることで、リアルクローズにひとさじの毒を加えている。
パンツルックを中心に据えてきたウィメンズウェアだが、シーズンを追うごとにフェミニティ薫るスタイルの存在感が増していることにも気づく。裾が軽やかに揺れ動くように設計されたロングスカートや、煌めく装飾を施したセンシュアルなキャミソールドレスは、アミ アレクサンドル マテュッシがこれから描いていくであろう女性像の輪郭を示しているかのように思えた。