ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(Givenchy by Riccardo Tisci)の2013-14年秋冬メンズコレクションでは、アメリカンスポーツやスター、ギリシャ彫刻のネオ・クラシシズムなどを集約。これらは、リカルド・ティッシがメンズコレクションのクリエイティブ・ディレクターとして活躍してきた現在までのコレクションでも見られたモチーフだ。
そこに新たに取り入れられたのは、官能的なモノクロ写真などで知られるフォトグラファー、ロバート・メイプルソープのエッセンス。ブラックとホワイト、グレーのカラーパレットやプリント、そしてセンシュアルなホットパンツに反映されている。素材はレザーとコンパクトウール、ボンデッドレザーとツイードなど。きらめきとマットという相反する要素を掛け合わせ、新鮮かつ落ち着いた表情に仕上げた。
定番アウターのダッフルコートやチェスターフィールドは襟やラペルを取り除いて、グラフィカルなシルエットにアップデート。大胆にプリントやコラージュを施してベースボールのディティールを再現したボンバージャケットは、大きなカーブを描くショルダーラインが特徴的だ。男性の力強さを宿したそのシルエットの美しさに、思わず視線が惹きつけられる。
リカルド・ティッシの端正なデザイン力と、それを支えるメゾンの技術の高さが叶えるディティールへの細やかな配慮が、色数を抑えることでより鮮明に印象づけられた。