ジル・サンダー(JIL SANDER)の2013-14年秋冬コレクションがミラノファッションウィークで発表された。
今季インスパイアされたのは、建築家オスカー・ニーマイヤーの作品に多用された曲線と、数学者ブノワ・マンデルブロのフラクタル理論。これらに影響された数学的・建築的な美しいラインが、装飾的に用いられた直線やカーブの縫い目、トップスの丸みを帯びた肩などに反映されている。
ネイビーやブラック、青みがかったグレーの静謐なカラーパレットを中心に、スカイブルーやオレンジ、カモミールイエローが彩りをプラス。ダブルフェイスのフェルトやボンディング・レザーといった厚みや張りのある素材のほか、カシミアやニードルパンチを施したアンゴラのセーターなど、ナチュラルな豊かさを宿したマテリアルが、体を優しく包み込んでくれる。
膨らみのあるシルエットや折り目のようなディテールが際立つアウターは、洗練されたエッジィなムードを演出するキーアイテム。ボトムにはエレガントな膝下丈のスカートや9部丈パンツを合わせて、すっきりとまとめ上げた。
ころんとしたフォルムがユニークなバッグは、サイドベルトから腕を通しクラッチ風に抱えてコーディネートしている。ウェアのトーンと合わせたブラックや深いグリーン、ひび割れたようなクラック模様などのバリエーションで展開された。足元は安定感のある太ヒールとホールド感のアッパーで、確かなステップを踏み出すように力強く。ジル・サンダーの本領発揮とも言える、肩の力が程良く抜けたタイムレスな美しさを造り上げたコレクションだ。