ジル サンダー(JIL SANDER)の2025-26年秋冬コレクションが、イタリア・ミラノにて発表された。
ルーシー・メイヤー&ルーク・メイヤー夫妻最後のコレクションとなった今季。現代に蔓延る様々な闇を光へと変え、光あるほうへ、そこにある輝きを手に入れられるように、との思いを込めてコレクションを作り上げた。
そのため、コレクションには闇と光を表現する対比が至る所にある。たとえば、Aラインのミニワンピースには、上部に光を浴びて反射するフリンジの装飾を合わせ、マットな素材感とシャイニーな装飾のコントラストを生み出した。
また、シルクを用いたプリーツスカートには、シルバーもしくはブラックのスパンコールを手作業であしらっている。切り替えるようにスパンコールの装飾が為されており、まるで徐々に光が差しているかのような感覚をもおぼえる。
プリントでは、はっきりとしたコントラストではなく闇から光へと徐々に移りゆくような様子を表現。ロングドレスやトレンチやシングルブレストコート、シャツなどに採用した花柄のグラデーションプリントがその好例だ。漆黒がゆっくりと明るんでいくにつれて、可憐な花柄が浮かび上がっていくプリントとなっている。
アクセサリー類は、クラッチバッグやハンドバッグ、ショッパー、ショルダーバッグなど多彩だ。いずれもミニマルでありながら存在感のある、彫刻的な造形となっている。メイヤー夫妻のクリエイションを象徴する「カンノーロ」バッグは、デザインやサイズがアレンジされ登場した。
カラーパレットは、闇を示すブラックがベース。ホワイトやグレーも多く登場し、シルバーやバーガンディ、レッド、レイクブルーといった鮮やかな色彩も時折散りばめた。闇と光がせめぎ合う、静かな攻防戦が繰り広げられているような、それでいて希望もみせてくれる、隠された愛を感じさせるコレクションとなった。