マルニ(MARNI)の2025-26年秋冬コレクションが、イタリア・ミラノで発表された。テーマは「THE PINK SUN」。
クリエイティブディレクターのフランチェスコ・リッソと、アーティストのオラオル・スローン、ソルジャー・ボーイフレンドのタッグによってスタートした今季のマルニ。描き出したのは、“ピンクの太陽”の下で暮らすオオカミの物語だ。マルニらしいプレイフルな色使いとモチーフ、大胆な素材使いにより、見るものをファンタジーの世界へと誘うようなコレクションを作り上げた。
「THE PINK SUN」というテーマの通り、キーカラーはもちろんピンク。そこに、可憐な花々を思わせるイエローやブルー、鮮烈なレッド、そして大地のブラウンを差し込み、マルニらしいカラフルで遊び心たっぷりの色彩感覚を表現した。
物語の主役となるオオカミは、多彩な洋服へと姿を変えている。たとえば鮮烈なレッドカラーのテーラードには、今にも動き出しそうなオオカミをオン。毛足の長い素材で毛並みを表現し、ダイナミックな躍動感を表現した。またコレクションでは、オオカミの尻尾を思わせるフェイクファーの極太ストールが多用されていたのも印象的だ。
このほか、花が咲き誇るテーラードや、カラスが飛翔するドレスなども登場し、全体にストーリー性を吹き込んだ。
どこか現実離れしたムードは、素材使いにも見受けられる。首元にはフェイクファー、ニットはシャギーなモヘア、パンツはハラコと、毛足の長い素材を随所に用いながらも、その合間に艶やかなサテンを差し込むことでコントラストを演出。意外性のある素材のコンビネーションによって、ファンタジーの世界の高揚感を掻き立てている。
緩急のあるフォルムにも注目したい。ショルダーラインを強調したボクシーなロングコートや流麗なプリーツスカートに象徴される“直線的”なシルエットと、着ぐるみのように身体を丸く包み込むミニドレスやバルーンパンツに見られる“曲線的”なシルエットを交互に提案。型にはまらない自由な造形のピースは、アート作品さながらの美しさだ。