フェンディ(FENDI)の2025-26年秋冬コレクションが、イタリア・ミラノにて発表された。
創業100周年を迎えるアニバーサリーイヤーに開催された2025-26年秋冬コレクション。シルヴィア・フェンディが手掛けた今季は、100年という歴史はもちろん、彼女のフェンディにまつわる記憶を反映させたコレクションとなった。
1967年、カール・ラガーフェルドがデザインした乗馬用アンサンブルを着用し、当時7歳のシルヴィアがランウェイを歩いたことがある。その記憶を示すように、当時の衣装のレプリカを纏った双子の孫たちが、1960年代と1970年代のアトリエを再現した空間の木製の扉を開き、ショーの幕が開けた。
ファーストルックは、リアルファーを貫き続けるフェンディならではのファーコート。襟は高くスタンドカラー風に、ウエストは細身のゴールドのベルトでマークした、まるでドレスのように女性らしいシルエットだ。
ファーアイテムはその後も随所で登場し、いつの時代もファーで人々を魅了してきた歴史を主張。フォックス、ミンク、セーブルを模したシアリングをパッチワークで配したロングコート、シェブロン柄のショートジャケット、贅沢に首元を包み込む大判のスカーフなど、圧巻のバリエーションが披露された。
着実に歩みを進め、時を重ねてきたフェンディの歴史とこれからの未来を象徴するかのように、砂時計を彷彿とさせるシルエットが採用されている。サテンで切り替えたバルザスカートや、ウエストマークしたペプラムジャケットなどに、くびれたフォルムが見て取れる。ジャケットやトップスなどの袖は砂時計の丸い部分をモチーフとしており、ふっくらと丸みを帯びている。
ウィメンズのドレスやスカートは、フレアやAラインのシルエット、クリスタルの刺繍、ランジェリーライクな仕立てなど、フェミニンな印象を与えるデザインが主だ。メンズは、ゆったりと余裕のある佇まいを演出するボリューミーなコートや、どこか抜け感あるクリーンなテーラードなど、クラシカルなムードに染めた。
その中で、前述したファーやシアリングをはじめ、カシミヤ、ウール、タフタなど、用いられた素材は様々。サテンの裏地を切り離し重ねることでラペルにしたジャケット、大胆にプリーツを施したシャツワンピース、柔らかくしなやかなラムレザーのトレンチコートなど、それぞれの素材を活かすフェンディの卓越したテーラリングの技術が遺憾なく発揮されている。
アクセサリーでは、シアリングインターシャやスパンコールなどでアレンジした「ピーカブー(Peekaboo)」と「バゲット(Baguette)」の新作バッグに加え、「フェンディ ジャーノ(FENDI Giano)」がデビュー。ひねってカチッと開閉する月形のバッグとなっており、両面の月が折り重なるフォルムが特徴的だ。このほかにも新作ホーボーバッグやダッフルなど、100年の歴史をさらに塗り重ねていくように、新作が多数登場する。