マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)は、2025-26年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。
2025年春夏コレクションに続き「かたち」をテーマに据えたマメ クロゴウチ。前回よりもさらに探求を深め、今回はデザイナー黒河内真衣子の考える、独自の美しいかたちを自身の手で生み出していく。
出発点となるのは、前シーズンでも参照された淡交社の書籍「日本のかたち」。多様な様式の伝統漆器とそのしなやかな質感からインスピレーションを得て、黒河内自ら紙を切り出して「かたち」を作っていくところからクリエーションをスタートした。考案した「かたち」を、たおやかさを持った立体へと膨らませていく試みが、コレクションの軸となっている。
たとえば、奥行きのある艶を備えた深紅のジャケットや、ネイビーのテーラードジャケットは、襟が緩やかに立ち上がるスタンドカラー仕様が目を引く。また、緩急をつけ袖にボリュームを持たせたオフショルダーのトップスやバルーンスリーブのドレス、布地の偶発的なドレープが際立つアシンメトリーのジャージードレスなども登場。提灯のように、布地の折り目が開くことで丸みを帯びた形になるニットドレスやパンツは、流動的なふくらみと色彩の濃淡がエレガントな佇まいを描き出している。
不均一な「かたち」が浮き上がるように立体を形成する有機的なフォルムのダウンウェアも散見された。身体をふわりと包み込むようなダウンコートは、キルティングの間隔や大きさをパーツごとに変えていくことで、小石や柔らかな雲のような自然の息吹を感じる装いに。前合わせもダウンパーツの曲線と呼応するかのように大きくカーブさせ、優しい空気感をまとったピースに仕上げている。
また、中心が突発的にせり上がっているかのようなダウンベストや、雪の積もったなだらかな坂のように大きな襟が首周りから肩にかけてを覆うダウンジャケットもまた、生き生きと鼓動する自然の風景を思い起こさせる。
柔和な表情を織りなす色の移り変わりにも注目だ。流れるようなシルエットのブラウスやドレスには、伝統技法の「墨流し」により抽象的なマーブル柄をあしらった。生地の繊細な透け感と灼けた痕跡のような模様も相まって、神秘的な空気感を生み出している。モヘアニットのカーディガンやタートルネックセーターには、あたたかな白と朱色、もしくは岩のようなライトグレーと深い青を組み合わせて鮮烈な配色を採用。モヘア特有の起毛感によって色の境目が曖昧になり溶け合うようなグラデーションを織りなしているのが印象的だ。