エズミ(EZUMi)の2025-26年秋冬コレクションを紹介。
今季のインスピレーションソースとなったのは、現代アーティストであるダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)による「架空の考古学(フィクショナル・アーケオロジー)」だ。“現代は、未来から見た過去である”という考えのもと、デザイナーの江角泰俊は、現代の衣服が1000年後に発掘されるシチュエーションを想定。衣服に考古学的アプローチを加えたコレクションを展開する。
そんな今季のムードを最も体現しているのが、鉱物や水晶を思わせる装飾だ。たとえば、柔らかな風合いで編まれたセーターやカーディガンは、一度手で生地を破き、洗い加工をかけて“時間の経過による浸食”を表現。破いた部分に輝くスパンコールやビーズ刺繍を施すことで、衣服を見事に再生させた。
また、同様のスパンコールやビーズ刺繍をあしらったシアートップスや、物体が浸食される時間の流れを刺繍に落とし込んだシャツ、フーディー、ロングTシャツも登場。エレガントかつ上品な佇まいとゆったりとしたシルエットが交わった、絶妙なバランス感をはらんでいる。
リーバイス(Levi's)を代表するジーンズ「501」のリメイクも今季ならでは。1000年後の世界では、ヴィンテージデニムがバラバラになってしまっていると仮定し、デニム生地を解体。細かくなったデニムのパーツは、テーラードパンツをはじめ、ふんわりとしたシフォン素材、プリーツ加工したデニムなどと繋ぎ合わせ、新たな形への再構築を試みた。
ブランドが得意とする異素材のドッキングは、アウターから見てとれることができた。温もりのあるウール素材のコートは、身頃にカーキのMA-1を採用し、クラシックとカジュアルを融合。一方、MA-1にレザーのラインを配したボンバージャケットは、スタイリングにボリューミーなアクセントをプラスしていた。
ファスナーを締めて被ると“犬の形になる”という遊び心あふれるデザインで、人気を博す「アニマルフードベスト」も必見。今季は、ハリのあるMA-1をはじめ、温かなボアや、ウールコートに使用されるメルトンなど、秋冬らしい素材で登場する。