ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)が、2013-14年秋冬コレクションを発表した。テーマは「幻」。思考によるものではなく、感覚的であり、そして瞬間的であるというファッションの側面を表現した。
ファーストルックを飾ったのは、頭からびっしょりと濡れた上半身裸の男性モデル。ネコのワッペンをあしらった淡いブルーのトランクスを着用したその姿からは、ミキオサカベがここ数シーズン取り組んでいる、ジェンダーへの鋭いアプローチが見て取れる。
幻のように次々と足早に通り過ぎる、濡れた男性モデルのスタイルは、徐々に甘さを増してゆく。ブラウスやスカートは、透け感やレースによって女性らしさを強調。あえてトランクスのみとレイヤードするなど肌の露出を高めることで、性を感じやすくさせるという効果をもたらした。
学校をモチーフにしたアイテムも目立つ。セーラー服やチアガールのユニフォーム、校章をモチーフとした柄のカーディガンなど、今まで継続的に発表してきたサブカルチャ―の要素を落とし込んだアイテムは、男性が着用することで新しい面が見えてくる。日本を文化の発信地としてとらえ、ファッションの新たな可能性を探る坂部の想いが反映された、象徴的なルックとなった。
「経済が東洋へと移ってきている中で、価値や人々が求めるものも変わってくるのではないか。そして世界も今までのように論理的ではなく、感情的になっていくのではないか。」と語る坂部。様々な要素を感覚的にミックスしたというそのデザインの先には、坂部の思い描く理想の世界が広がっている。