モスキーノ(MOSCHINO)は2021年春夏コレクションを発表した。
今季のモスキーノのキーワードは“トプシー・ターヴィー(=逆さま)”。日常が非日常に、非日常が日常に。前シーズンとは違う、生活の様式や意識が価値観が180度変わったかのような現在の世界。そんなサーカマスタンスからインスピレーションを得たピースを展開していく。
クリエイティブディレクターのジェレミー・スコットは、世界中でそのような考え方の変化“パラダイムシフト”が進行すると、今まで見えなかった社会の内部構造が露わになると考えた。コレクション内のウェアたちはそんなジェレミーのマインドを反映し、内側が外側に、表裏が逆になったようなデザインで構築されている。
エッジ、シーム、コルセットの骨組み...通常洋服の内側にあるパーツが表面に露わになる。裏地のステッチや縫い代もすべて表側に。ただ、一見すると違和感なく、まるで元々“表側の存在”だったかのような馴染みのあるルックスに昇華しており、今まで不可視であった洋服のディテールが秘めたユニークさに気付かされる。
トロンプルイユを用いて“逆さま”を表現したジャケットやワンピースも目を惹く。ジャケットは、ラペルやショルダー部分にステッチを走らせ、ワンピースは裾の表側にタグを配するなど、騙し絵の以外にも“逆さま”な要素を詰め込んだ。
モデルが手に持つバッグにもインサイドアウトの仕立てが反映されている。モスキーノらしいプレイフルな表情は、デイリーのコーディネートにアクセントとして単体で取り入れることも出来そうだ。
カラーパレットはペールゴールド、プリンセスブルー、ピーグリーン、プリティピンクといった華やかさと柔らかさのある色で構成。テキスタイルではどこか日本の着物を思わせる、光沢のあるシルク素材が存在感を発揮。リュクスな雰囲気を醸成している。