バルマン(BALMAIN)は2021年春夏メンズコレクションを発表した。
バルマンの創始者、ピエール・バルマンは楽観主義者だ。1940年代、第2次世界大戦時におけるフランス解放直後の不安定期、バルマンは明るい未来を信じた。彼は自身のクリエイティビティ、そして突き抜けたオプティミズムをエネルギーに換え、1945年にバルマンを設立。パリを再び世界におけるファッション界の中心地として復活させるため、服作りに全力を尽くした。
今季のバルマンは、そんなピエール・バルマンの精神であり、ブランドの核となる信条“楽観主義”を表現したコレクションを創り上げた。バルマンがブランドを立ち上げた当時の、フランスにおけるネガティヴな情勢と現代を重ね合わせ、不穏な現状を打破する“力強さ”を感じさせるようなピースを展開する。
ショーではファーストルックから、ハッと目が醒めるような鮮やかな蛍光色で彩ったスーツが2ルック続けて登場する。絶大なインパクトを与えるルックは、見る人々を一気にバルマンの世界へと引き込む。
それらジャケットとスラックスのセットアップが、やや大ぶりなシルエットであるのにはじまり、コレクション全体を通してもオーバーなサイズ感のアイテムが散見される。特にアイキャッチなのが横に大きく張り出たパワーショルダーのジャケットやブルゾンたち。“力強さ”のイメージをダイレクトに伝達するデザインだ。
そして、オーバーなサイズ感のトップスに合わせるのが、引き締まったラインを描くショーツやフレアのスラックス。タテ、ヨコ共にシルエットに緩急をつけて構築した特異なスタイリングによって、分かり易くバルマンの独創性を象徴した。
また、ロゴを総柄で落とし込んだアイテムたちは、ブランドのヘリテージなデザインを強調する。バルマンの現アーティスティック・ディレクターであるオリヴィエ・ルスタンが、これまでのブランドの歴史や伝統にオマージュを捧げているようにも感じられる、本コレクションにおいてアイコニックな要素の一つであった。