メゾン マルジェラ(Maison Margiela)は、2021年春夏Co-Edコレクションをパリ・ファッションウィークにてフィルム形式で発表した。
今季、クリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノがインスピレーションを得たのはアルゼンチンのタンゴ。2人でステップを踏む“パドドゥ(pas de deux)”に見られるような、身体も心もお互いに預け合う信頼関係、そしてダンスが生み出すカタルシスに着目した。人と人とが繋がり、舞い踊り躍動することで精神を解放し、さらに前進していくエネルギーがデザインに落とし込まれている。
ウェアの背中には、タンゴの競技ダンスで用いられるゼッケンに見立ててメゾン マルジェラの各ラインを示す数字を大きく配してカテゴライズ。その一方で、コレクションのために開発されたジェンダーレスなピースには真っ白なラベルをオン。象徴的なこれらのピースはウィメンズ、メンズの定番アイテムのディテールに落とし込まれて継続的に展開され、メゾン マルジェラの文脈の中に普遍的な根を張っていく。
2020年7月に発表されたメゾン マルジェラ「アーティザナル」2020-21年秋冬コレクションは、今回の2021年春夏Co-Edコレクションにおいてプレタポルテとして製品化される。
例えば、身体に密着しつつ、身体の動きに連動して動くモスリンとチュールのドレスには、数枚の円形パネルを重ねて構築した「サーキュラー・カッティング」を採用。濡れた時のようなドレープが“ウェットルック”の効果を生み出し、センシュアルな表情を浮かべる。さらに、ミニマルなテープのプリントをあしらうことで、“動き”をよりスペクタクルで情緒的に演出した。
切り裂かれ、カッティングによってガーメントの構造を露わにしたフォーマルなジャケットや、ニットやシャツ、ベストなどを再利用して繋ぎ合わせた構築的なピースは、ヴィンテージアイテムを修復しアップサイクルするメゾン マルジェラのカプセルコレクション「レチクラ(Recicla)」のプロセスに共鳴している。
大胆なカッティングを施したジャケットは、肩が張り出していたり、切り裂いたレイヤーからフリルが飛び出したり。切り離されたことで生まれる空間と、組み合わせられることで生まれる独自のフォルムが1着の服に共存している。服地をカットし、構築していくことで生み出される“躍動”がエネルギーを生み出し、凛々しく堂々とした佇まいを形作る。