ユリウス(JULIUS)が2013年6月26日、2014春夏コレクションをフランス・パリで披露した。テーマは“ゴースト"で、「アダム」と「リリス」という2人(?)の幻影に、黒と白のみの衣装をそれぞれ用意。といっても完全に別の服というわけではなくて、「肉体に対するデジタルなアプローチ」「補完」「都市の垂直軸」といったキーワードは共通している。
最初に目に飛び込んできたのは、ネック周りの表現方法の多彩さだ。肩がジャケットのようにコンケーブした半袖のハイネックのジップジャケットや、ジャケットのインナーに着込んだフードとハイネックの中間のようなデザインで首周りに不自然な空間を作ったレザーベスト(ジャケットの可能性もあり)は、確かに人間離れした無機質な生き物のように見える。額に白くドーランで塗って、「日本昔話のお化け」を分かりやすく演出しているからかもしれないけれど……。
カラーは前述の通りブラック&ホワイトのみ。スーツやサルエルパンツで使われた幻影的なモダンアートのような柄(といっても色はモノトーン)が程良いアクセントとなっている。ジャケットのアクションプリーツと袖のラインが交わるのをはじめ、パターンもユニークで実験的。ユリウス十八番のドレープカットソーは、幽霊感の演出に一役買っている気がした。
パリでコレクションを発表するようになってから早5年。ショーを見に来た全身ユリウスのヨーロッパの若者たちの姿を見れば、しっかりパリの地にユリウスの世界感が根付いてきていることが分かる。軸を持ち、コレクションに毎回大きな変化はなくても、日本のブランドの最大の特徴である「細部の微妙な違い」を分かる人たちが増えてきているということなのだろう。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)