カラー(kolor)は、2022年春夏コレクションを発表した。
前シーズンから引き続き、「新しいミニマル」を表現した今季。要素を削ぎ落していくことで生み出される“ミニマル”なデザインとは異なる、複雑さやカラーの独自性を残した形での「ミニマル」を追求する。全体像の70~80%はシンプルに構成し、ディテールにデザインを集中させてバランスをとることで、「新たなミニマリズム」を構築する。
解体した服のパーツをドッキングさせるという、カラーおなじみの装飾的なディテールがユニークな表情をもたらしているが、同時に全体像の佇まいは「ミニマル」である。それは、付け加えられた装飾もこの服を構成する上で「必要最小限」の要素だと納得できる調和を見せているためだ。
オーバーサイズのチェスターコートに配されたポロシャツやカラフルなニットのパーツは、コートの服地の流れに連動し同じ波長でドレープを刻んでいる。また、前立て部分に異なるシャツ地を配したブラウス、襟を形作るようにしてポロシャツのパーツを配したチェック柄のアンコンジャケットなど、ドッキングによって生じるノイズを抑えた絶妙な均衡で仕立てることで「ミニマル」なスタイルに仕上げている。
組み合わせた素材の質感のコントラストも印象的だ。例えば、メタリックなシルバーのドレスにはマットなニット地を組み合わせ、ハリのある白シャツにはしなやかなオーガンザをドッキング。なめらかなトラウザーの生地と、シワ感のあるアクティブな素材を組み合わせたハーフパンツも登場した。
今季ならではのポイントとして、本来裏側に隠すはずのステッチやテープ、ホッチキスの芯などをあえて表に出して見せている点に注目したい。透明シートを部分的にあしらい、その下に縫い目などの構造を重ねて見せることで、手を加えた痕跡のアナログ感や飄飄とした抜け感を表現。過去数シーズン継続している「分解と再構築」を、目に見える形でディテールに落とし込んでいる。
例えば、襟やポケットのフラップを透明シートで覆ったテーラードジャケットは、その部分のみステッチや“裏側の構造”を露出させることで、どこかラフな表情に。ブルゾンの身頃を切り込んでいくかのようなジグザグの縫い目や、鮮やかなブルーの生地に無造作にあしらわれたシルバーのテープなど、ノイズとしてではなくアクセントとしてこれらのディテールが機能しているのが見て取れる。
また、カラー初となるネックレスも登場。スタッズを装飾したチョーカーネックレスは、ループタイや付け襟のような感覚でコーディネートに取り入れられ、首もとに華やかさをもたらしている。