サンローラン(Saint Laurent)の2022年春夏メンズコレクションは、ヴェネツィアのラ・チェルトーザ島に制作された、ダグ・エイケンのインスタレーション作品「グリーン・レンズ(Green Lens)」が舞台となった。
ロサンゼルスを拠点とするアーティスト ダグ・エイケンならではの“没入感”のあるインスタレーションの中では、あらゆる自然の要素が存在感を発揮する。そんな作品世界を活かしながら、クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロは、未来を見据えた自然との調和を表現した。
メンズコレクションという垣根を超えた、今季のモダンなフェミニニティの表現は、センシュアルで時に力強い。そんな中で、取り繕いすぎない、肩の力を抜いたラフさがある。ブラウスはブラックレースの切り替えやリボンタイ、柔らかなラッフルによって飾られている。パンキッシュでグランジなベストのインナーには、肌が透ける総レースのトップスを合わせた。
シャツは胸元を大きく開け、肌を見せることを厭わないスタイルで提案している。ボヘミアンなブラウスはシフォンやコットンで、柔らかな雰囲気を醸している。
アンニュイなエッセンスを加えるオリエンタルジャカードのジャケットは、肩の力が入りすぎないガウンのようなシルエットで提案されている。一方で、クラシックなジャケットスタイルはサンローランならではの美しさ。角張ったショルダーライン、エッジィなピークドラペル、細身のシェイプが特徴的だ。パンツの主軸はスキニーとタックパンツだが、窮屈さはなく今季は自然と調和するようなルーズさがある。