1900年、パリ万博のメイン会場として建設されたグラン パレ。近代芸術の潮流を生んだそのグラン パレが、シャネル(CHANEL)の2014年春夏プレタポルテコレクション開催の地となった。会場は、アーティスティック ディレクター、カール・ラガーフェルドの手によりアートギャラリーへと変貌。75点のアート作品が、招待客を魅了した。
本コレクションのテーマは、アートとファッションの融合。カールは、数々のアーティストから受けたインスピレーションを、色彩と素材から再解釈した。
カラーパレットは、ブランドの象徴的な色である、ブラック、ホワイト、ネイビーが中心となった。そこに今シーズンは、女性らしさを引き出すピンクや、少女のようなあどけなさを感じさせるポップなブルー、イエロー、グリーン、そしてパステルカラーやネオンカラーをプラス。色彩豊かなコレクションへと仕上がっている。
シャネル定番のツイードは、シフォンのリボン、オーガンザ、レース、プラスチック繊維から制作。擦り切れ加工や切り裂き加工の素材も織り込まれた。また素材にはそれ以外にも、ストレッチニット、クレープデシン、シリコンによるレースプリント、樹脂加工されたギピュールレース、レザー、パール刺繍、様々な風合いのブレードなどが見られる。様々な素材を用いて生み出された服は、まるでコラージュを施した1つのアート作品のよう。
本コレクションで特徴的なのは、3ピース以上のアイテムから構成されるスーツ。通常は2ピースから成るスーツのコードを一変させた。アイコニックなジャケットは、バスト部分をカットオープンしたデザインや、ノースリーブでスリムなラインなど、様々な切り口から探求。ロングスカートは、サイドにスリットを施し、ほどよくセクシーに。また、エプロンのようなシフトドレスは、シルエットを強調するようなデザインへと仕上げられている。
ソックスと一体型のシューズや、エクストララージのパールのネックレスなど、アーティスティックな小物使いに彩られた今回のコレクション。そこには、色彩豊かで新鮮な春の息吹を、芸術的に表現しようとしたカールの挑戦を見ることができる。