ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)の2022年秋冬メンズコレクションが発表された。
夢見心地な空気感と反抗的なスピリット、相反するものが共存している今季のコレクション。パーティーの後にキスをすること、愛する人たちと触れ合い、楽しむこと――今となっては夢のように思い出される失われた日常へのオマージュと、抑圧の日々に抗う滲み出るような反骨心とが同居している。
夢の中にいるのだから、ルールは不要、ドレスコードはなし。スポーティーなパファジャケットや、モッズコート風のミリタリーアウター、リラクシングなパジャマシャツ、ドレッシーなテーラリングのセットアップ。クラシカルなレースアップシューズやホームスリッパ、シルクタイやモヘアハットなどの小物に至るまで、あらゆるテイストのアイテムを提案している。
自由気ままでうっとり夢見心地なムードに、ぴんと張りつめたような緊張感をもたらすのが、ドラマティックな輝きを放つパフスリーブのブラウスやボンバージャケット、極彩色のパターンをあしらったパンツ。デヴィッド・ボウイ、カート・コバーン、マーク・ボランといったロックスターやジャン=ミシェル・バスキアからインスピレーションを得たピースは、彼らの反骨精神を宿しているかのようだ。
夢と現実、その境界線が曖昧なように、男と女、ジェンダーの境も曖昧だ。チルデンニットはロングシャツとレイヤードしてワンピース風に。素肌の上に重ねたシガレットショルダーのジャケットは、ウエストに寄り添うようなシルエットで、フェミニンかつ官能的なムードを放っている。