ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)は、2022-23年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。
今季は“フェミニティ”がキーワード。イタリアの歌手・ミーナ(Mina)の楽曲「Luna Diamante」や、建築家・アーティストであるカルロ・モリーノが手がけた邸宅「カーサ・モリーノ」および、女性たちを写したポラロイドの写真集『カーサ・モリーノ・ポラロイド』などから着想を得た、官能的でリュクスなムードの中で、フェミニティの極みを追求する。
印象的なのは、曲線を生かしたシルエット。男性服のシャープなテーラリングを駆使したチェスターコートは、あえてショルダーを広くとり、ウエストをシェイプさせることでカーヴィーなラインをプラス。マスキュリニティとのコントラストによって、フェミニティを浮き彫りにしている。
この他にも、肩から袖にかけて、円を描くようになだらかなフォルムに仕上げたジャケットや、分量感のあるショールカラーのパファージャケット、丸みを帯びたパデットのパイピングを施したジャケットなど、身体、またはその延長線上の曲線美を際立たせたウェアが展開されている。
また、ざっくりと開いたネックラインや、シャープなスリットなど“露出”のディテールを取り入れることでセンシュアルなエッセンスを効かせつつ、肌が露わになる部分にはハイネックのインナーやタイツを重ね、「晒す/隠す」という対照的な要素を共存させたルックも目を引いた。
加えて、60年代のクチュールを想起させる、エキゾチックでデコラティブなテキスタイルにも注目だ。壁画のようにきらびやかなジャカードコートをはじめ、べっ甲模様のブーツやダマスク模様のパンツ、毒っぽさを帯びたヴィヴィッドなブルーの花柄を大胆に配したワンピースなどが登場。シャイニーなホログラムコートには、フェザーをあしらうことでそのきらびやかな佇まいに拍車をかけている。
絵を描くようにキルティングを施したドレスやコートは、その立体的な質感によってより一層抽象的な雰囲気に。メタリックなコートやドレスには、大胆なシワ加工を施すことで、陰影や動きをつけ、アクセントを加えた。また、レオパード柄の艶やかなパテントコートやワンピース、ゼブラ柄ドレスやニット、ダルメシアンのチェスターコートなど、アニマルモチーフも多数登場している。
さらに、大ぶりなアクセサリーも今季を特徴づけるポイントだ。“Diamante”=ダイヤモンドを贅沢に繋ぎ合わせたネックレスやブレスレットは、首や腕に巻き付くような有機的なデザインが存在感を放っている。首の前面を覆うようにして着けたバタフライモチーフのビーズチョーカーや、貝殻を連ねたネックレス、メノウのピアスなど、博物館に並ぶ貴重な標本や宝物を思わせる、ユニークで神秘的なデザインが散見された。