クロエ(Chloé)の2022-23年秋冬コレクションが発表された。
厳格なバイカーコートのファーストルックで幕を開けた今シーズン。続くルックも、ブラックやブラウン、イエローのレザーが用いられ、全体を通して力強い雰囲気が漂う。無駄な装飾をせず、レザーの艶やかな質感と流麗なシルエットををシンプルに際立たせた衣服によって、マニッシュさよりもむしろ女性的なエレガンスを強調しているのがクロエらしい。
ミディ丈のレザードレスにウールカシミヤのフレアパンツを合わせたコーディネートは、クールとフェミニンのバランスが伺える好例。レザーのハードさと反比例するように、ドレスのネックラインを大きく開き、袖は丸みのあるバルーンスリーブに、丈はフレアシルエットに仕上げることで、レディな印象を引き出している。
レザー使いが目を引く一方、エキゾチックで温かなムードのピースも多く見受けられた。たとえば、ウルグアイ出身であるガブリエラのバックグラウンドを想起させる、マルチストライプのニット。2021年秋冬コレクションで登場した、ダウンジャケットとカシミヤのポンチョを繋ぎ合わせた“パフチョ”は、深いブルーと太陽のようなレッドのグラデーションを纏って復活している。
褐色がかったイエローやレッド、オレンジなど、今季のキーカラーを閉じ込めたスリーブレスドレスは、スエード素材のパネルをクロシェ編みで繋ぎ合わせたもの。こちらも、過去に登場したパッチワーク風のアイテムをアップデートした1着だ。足元にもドレスと同じカラーパレットのハイキングブーツを合わせ、ひと際インパクトのあるルックに仕上げている。
溶けた氷河、森林火災や干ばつを表現したインターシャニットやトートバッグは、気候変動問題に取り組むガブリエラの考え方が直接的に反映されたアイテム。“気候変動の悲劇”を捉えたフロントに対し、バックには青々とした山脈やホッキョクグマなど“希望”が描かれているのが印象的だ。