トーガ(TOGA)の2022-23年秋冬コレクションが、楽天ファッション・ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)期間中の2022年3月19日(土)に東京・表参道で発表された。
楽天による日本発のファッションブランドを支援する「by R」プロジェクトの一環で披露された今回のショーは、“HOOPS”、“BOUNCING”、“SWINGING”がテーマ。身体と服にできる空間と、そこから生まれる動きをフィーチャーし、“生きている服”を完成させた。特にここ数シーズン、TOGAが試みている性差の垣根を超えるスタイリングを軸とし、有機的なシルエットにも、無機的な素材にも、同じ温かな命を宿す。
まず追求すべきはテーラードへの趣向。通常であれば規律を象徴するテーラードを、今季は3つのキーワードを通して“自由を謳歌する服”へと転換している。分断されたテーラードはニットが間を介することで、人間の動きと連動し、ゆったりと跳ねるような動きを見せている。また、本来ならダーツを施す部分にアウトプリーツを施すことで、歪なボックスシルエットを築くジャケットは、インナーとの間にふんわりと空気を纏わせるかのようだ。
柔軟性と硬質性の両面をもったファブリックは、今季のキーワードと非常に上手くリンクしている。例えば、超ハイゲージのニットは身体との距離感が絶妙で、しなやかなフィットとフリーダムな躍動の連続。タフタは、ふわっと揺れるような軽さを持ちながらも、ハリがあり、捉えどころのないシルエットを構築している。
また、毛足の長いファーやフェザーは、静止するときには予想だにしていない“繊細な揺れ”の基だ。大きなスリットが入ったフレアパンツやコートの裾でなびく様は、ドラマティックに感じられた。繊細がゆえに思わず目を奪われ、TOGAらしさとともに、服を身に着けて歩くことへの楽しさを覚える。
不自然な骨組みで構成されたスカートや、重厚な素材をあえて裾に採用することでボリュームを出したコートは、重力さえもデザインに取り入れているように映る。特に骨組みによって“輪”ができたスカートは、身体との距離をもった裾部分が左右上下にゆらゆらとたなびいている。
コレクションを俯瞰してみれば、静止している状態ではなく、身に着けるものが歩を進むことで“服の魅力はこうだ”と決定づけられていた。ショーのラストは、モデルが会場をめいっぱい使ってランダムに歩く演出で締めくくられたが、改めて“動けばなおのこと魅力が増す、楽しい服だ”と主張するかのようで、紛れもなく今季の服には生命が宿っていた。