ビューティフルピープル(beautiful people)の2022-23年秋冬コレクションが発表された。テーマは「essayage」。
約1世紀前のスペイン風邪の流行の中、裁断の発展を探り、1910年代の女性ファッションに多大な影響を与えたデザイナー、マドレーヌ・ヴィオネ。そんな彼女にオマージュを捧げる今シーズンは、彼女が当時注目していた日本の「着物」や、表と裏の区別がない「メビウスの環」といった要素をクリエーションに落とし込んでいる。
目指したのは、「西洋と東洋の融合」。衣服の“表と裏”の間を探り、洋服の構造を発展させた「サイドC(Side-C)」や、上下をくるっと回転させることで複数のシルエットを1枚で楽しめる「ダブルエンド(DOUBLE-END)」といったブランドの得意とするアイデアを用いて、1つの衣服の中に東と西、和と洋を内包させた。
今季のアイテムはすべて、“上下反転させて着用できる”のが特徴。たとえば、和服のはんてんのようなシルエットの羽織りは、ひっくり返すとスタンドカラーのブラウスへと変身。模様も、日本の伝統的な「こぎん刺し」の模様と、温かみのあるノルディック柄を融合させているのが印象的だ。
着物の羽織りを思わせるドレスは、日本の着物に使用される「カスリ柄」をアールデコのようにグラデーションで配しているのがユニーク。本来、紬で表現されるカスリ柄を、西洋のフォーマルなシルクサテンの素材にあしらっているのも斬新だ。こちらも上下反転させることで、フェミニンなボウタイドレスへと変化するという。
コレクションの中でもひときわ目を引いたのが、着物の帯の“前結び”からインスピレーションを得たティアードスカートだ。ひだとなる部分には実際に、100年を超える歴史を持つ工房で作られた和紙素材の着物帯を使用。伝統的な刺し子のデザインと独特のハリ感が、クチュールライクなボリュームシルエットの中で和のテイストを引き立てている。