レザーブランドであるフルラがCANDYバッグに代表されるPVCのような新しい素材を使い始めたきっかけは何だったのでしょうか。
「グリーンケミストリー(※)」という素材を使おうという話から始まりました。元々のアイデアは、革に変わる別の素材として、但し、環境に優しい素材を使って工業生産で使う型を使って生産してみようというのがきっかけです。このCANDYは、ボディとハンドルと底の3つのパーツで構成されています。ベース(底)の部分をボディに縫い付けるのですが、通常はブーツを縫うときに使う機械を使います。普通のミシンでは縫えないのですよ。このCANDY バッグはメインコレクションに対してプラスアルファのラインとしてデビューさせましたが、世界的に大変人気が出て、今ではひとつのブランドのように扱われるまでになりました。2011年の春夏にデビューして、これまでに50万個販売しています。
日本の街中でもフルラのバッグをよく見かけますが、日本での人気の理由をどのようにお考えですか。
日本で成功したのは色々な理由があるかと思うのですが、いち早く日本に進出していたことと、現在、日本法人で働いている320人の従業員が、とても情熱的に働いてくれていることです。
もうひとつ、日本のお客さまは“品質”をよく分かっているということ。私自身は元々日本のデザイナーや建築家の仕事はとても好きなんですけれど、日本の美的センスが特に好きです。日本の女性を見ていても、飾り過ぎない控えめなエレガンスを持っている。そのセンスがフルラのブランドとマッチしたのではないかと思っています。魂が込められている商品かどうかということを、日本のお客さまは分かってくださっています。
こちら(バッグ「PIPER」。写真はミニサイズ)は、日本でも売れ筋の商品ですね。とてもかわいいでしょ。
日本人の小柄な体系にもピッタリですね。最後に日本のカスタマーに向けたメッセージをいただけますか?
日本で成功できれば、世界中どこででも通用すると考えているので、フルラはこれからも、日本市場を重要視し、日本市場で頑張っていきたいと思っています。
※グリーンケミストリー:環境汚染を防止し、人体や生態系への影響を最小限に抑えることを目指した化学。
【プロフィール】
Giovanna Furlanetto:レザーグッズ市場における主要ブランドでありファミリービジネスを維持し続けている有数のイタリア企業、FURLAの代表取締役社長。1927年に彼女の父親であるAldo Furlanetto(アルド・フルラネット)によりイタリア・ボローニャに設立されたFURLAは、ジョヴァンナと、彼女の兄弟であるカルロとパオロによって1970年代に引き継がれた。
彼女は常にイタリアならではのクリエイティビティーとクオリティー、本質を重視した革新的なスタイルで会社を成長させてきた。その結果、現在では世界約91カ国に約328の路面店の他、百貨店やセレクトショップの約1,000店舗以上に展開。
また、ファッションの世界だけにとどまらず、アートの場でも活躍の場を広げている彼女は、若い才能をサポートするべく、FURLA 芸術賞を2000年にスタート。取り組みをさらに強化させ、アートとファションの両世界のクリエイティビティーを支援し続けるために、FURLA 財団を2008年に設立した。
2007年6月にはボローニャの商工会議所によりイタリア製商品の認知度を世界中に広めることに貢献したと称えられ、イタリア経済大使に任命された。2008年にはイタリア共和国の大統領Giorgio Napolitano(ジョルジョ・ナポリターノ)より産業界の重要人物に送られる「労働騎士勲章」を授与すると同時に企業家として高く評価されている。