アンダーカバイズム(UNDERCOVERISM)2014年春夏コレクションは、80年代に起こったニューウェイヴのムーヴメントを感じさせるような、ストリート感のあるロックスタイルがそろった。
「PSYCHOCANDY」「SOME CANDY TALKING」「I'LL BE A PLASTIC TOY」……。ブルゾンやライダース、シャツなどのアイテムに浮かび上がる言葉の数々。力強くて、ふっと別世界に引き込まれるような、不可思議さがある。これらのフレーズはすべて、イギリスのオルタナティブロックバンドであるジーザス&メリーチェイン(The Jesus and Mary Chain)が、世に生み出したもの。モードとストリートの狭間に立ち続けてきたブランドが、ひとつのスタイルを通じ、バンドのノイジーな存在感をひしひしと伝えている。
中間色を好んだここ数年とは違い、全体をモノトーンやレッドで統一したことで、ダークで反骨精神に満ちたムードも完全復活。そしてディテールは、よりエッジィさを増した。レザーグローブは手首の先のみを覆い、ニットは透け、タンクトップはバイアスにレザーを切り替える。心地よいモード感だ。それに合わせ、テープを施したダッフルコートやブーツであったり、フォトグラフィックを全面に採用するなどして、ストリートの空気感もうまく取り入れた。
柔らかさの中にある鋭さといった対比ではなく、焦点を絞って直球で表現した今回のコレクション。ここには、デザイナーである高橋盾が続けてきたクリエイションの、より核心の部分が現われたと言っても良いかもしれない。カルチャーに根を張り、モードの舞台で呼吸する。アンダーカバイズムが、原点に帰ってきた。