ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)は、2023年春夏メンズコレクションを発表した。
今季のジョルジオ アルマーニが描き出すのは、ふっと肩の力の抜けた、リラクシングなエレガンス。さらりと身にまとうだけでノーブルな雰囲気を帯びる、ゆとりのある着こなしによって、ジャケット、シャツ、セーターといったクラシカルなアイテムにより一層、成熟したリュクスなムードが加わっている。どこか安心感を覚えるような、柔らかく、しなやかな佇まいを提示した。
例えば、特徴的なのはシャツを外に出して着たスタイリング。シアーなアイスグレーのセットアップには、丈の長いブラウスをセット。裾に配された幾何学模様がショールのデザインと連動し、シックなアクセントを効かせる。テーラードジャケットのルックには、緩やかなドレープ感のカットソーやワイドパンツを合わせ、軽やかな開放感を添えている。
また、柔らかなスニーカーやスエードローファー、レザーのスリッポンなど、研ぎ澄まされたミニマルなシューズが、飾らない気軽さを見せ、ネックラインを下げたバンドカラーのシャツや襟付きブルゾン、クルーネックのセーターやカットソーなど、すっきりとした襟周りのラインもまた、身軽な印象を後押ししていた。
素材は、シアサッカー、リネン、ウォッシュドシルクなどを主に採用。シャイニーな質感や、涼やかな落ち感、柔らかさと、水を思わせるブルー、ネイビー、砂のようなグレーといった色彩が相まって、落ち着きのある空気感を漂わせていた。きらきらとした光沢感のライトブルーのシャツが織りなす清涼感や、スムースな生地に植物のモチーフを描いた淡いライラックカラーのシャツの上品さ、石のようなグレーに彩られた、シワ感のあるシャツジャケットやパンツの自然体の美しさが目を引く。
コレクション終盤に登場した、艶やかなシルバーのセットアップやジャケットは、奥行きのある輝きが印象的。光を受けた時の輝きと陰影のバランスによって、深みのある風合いに仕上げていた。
ジオメトリックなテキスタイルも散見されたが、いずれも肌になじんでいくような穏やかさが余韻を残す。編み目に沿って線がカーブを描くようにして曲がるチェック柄のセーターや、生地表面のドレープと光沢に連動して立体感のある表情を見せるジャカードジャケット、ベストなど、曲線的な幾何学模様が、服に流れるようなリズムを生み出していた。