サンローラン(Saint Laurent)の2023年春夏メンズコレクションが発表された。
メゾンのクリエイティブ・ディレクターであるアンソニー・ヴァカレロは、アメリカの作家ポール・ボウルズの小説『極地の空(シェルタリング・スカイ)』にインスパイアされ、ロンドン在住のアーティストであり舞台デザイナーのエス・デヴリンと共に、モロッコのアガファイ砂漠の真ん中に荘厳なセットを設置。明るく発光するリングと穏やかに揺れる水面の周りをモデルたちが闊歩した。
そんな雄大な自然を活かした舞台でショーを行った今季は、フェミニンな要素を付与し、上品な印象のルックが提案された。
2022年冬ウィメンズコレクションにおいて着目されたタキシードが、今季はより上品に、新たな可能性を内包して登場。特徴的で大きめな襟の形や力強く張り出したショルダー、シングルもしくはダブルブレスト、端正な印象を受ける軽いシルクファイユのタキシードなどにアップデートされた。
コレクション内で幾度も目にするハイウェストのワイドパンツは、マラケシュならではの安らぎのある生活を反映し、リラックスしたムードが漂うシルエットに。時にスリムに、また時にはボクシーな雰囲気を醸しており、ふんわりとした袖口が特徴のシャツとの相性の良さが伺える。
柔らかな質感のボウタイブラウスは、センシュアルで優雅な印象。首元でリボンまたはタイのように結ばれ、パンツと合わせたり、ジャケットやコートの襟の間で揺れ、華やかさをプラスしている。
アウターは、ルーズでボリュームのある体全体をすっぽりと包み込むコートが目に留まる。これらのアイテムには、ファー素材やギャザーを施したサテンを用いた。一方で、レザーや、ムッシュ イヴ・サンローランも愛用したウール、グレイン・ド・プードルを使用したコートやテーラードジャケットは、細身でシャープなシルエットのものが見受けられ、力強さやスタイリッシュさを演出する。