エイ・クライプシス((A)crypsis)の2023年春夏コレクションが発表された。
エイ・クライプシスは、イー・ファン・チャンと、セイヴソン(Seivson)のデザイナーでもあるヅゥチン・シンが手掛ける台湾のメンズブランド。今季は、“悪魔”と称される大型ハナカマキリ「イドロマンティス・ディアボリカ」をテーマにコレクションを展開する。
ハナカマキリは、ラン科植物の花に“擬態”することで、花に集まる昆虫類を捕食する生物。本コレクションでは、強い攻撃性を秘めながら周囲の環境に溶け込むことで、獲物を知らず知らずのうちに美しい罠へと誘うハナカマキリのイメージを衣服で表現した。
コレクションのキーワードとなるのは、ブランド名でもある「crypsis(保護色)」。それぞれのルックは、ブラック、グレー、グリーンといった同系色のダークカラーで統一し、アイテム同士の境界を曖昧に。捻りの効いたシルエットを、あえて目立たないよう色に溶かしているのが面白い。
遊びのある異素材ドッキングの手法にも注目だ。たとえば、くすみグリーンに彩られたアウターは、ブルゾンにダウンベストが“擬態”したデザイン。ほかにも、フード付きのジャンパーとMA-1のスリーブを繋ぎ合わせたジャケットや、異素材で切り替えたスウェットなどが登場した。
今季も、様々なエレメントをミックス&マッチし、独自の世界観を築き上げるブランドの世界観は健在。ハナカマキリモチーフを胸にあしらった開襟シャツや、切りっぱなしのハーフパンツ、オーバーサイズのMA-1などストリートのテイストの洋服に、クラシカルなタッセル付きの革靴を投入しているルックがその好例だ。
また、躍動感を演出するディテールデザインも印象的。ワークパンツのポケットは大きく誇張されており、ジップの両端にはひらひらと風にたなびくストリングをプラス。ジャケットの裾部分にも紐を垂らし、動きのあるフォルムを作り出した。