フォーサムワン(FORSOMEONE)は、2023年春夏コレクションを発表した。
ブランド創設から5年目を迎えるフォーサムワン。デザイナーの小川哲史が今季提示するのは、ブランド初期の2018~2019年のクリエーションを思わせるスポーティーかつエレガントなコレクションだ。
ユニフォームやジャージ、カーゴパンツといったスポーティーなアイテムをはじめ、トレンチコート、テーラードジャケット、デニムパンツなども動きやすさと上品さを併せ持ったデザインで登場。デザインやフィットには原点回帰ともいえるような要素を持たせつつ、初登場のウィンドブレーカーも交えるなど新鮮な印象も見せている。
インスピレーション源となっているのは、UKの音楽カルチャーや、アーティスト達のファッション。トラックスーツや、アクティブなショートパンツといったスポーツウェアは、ややゆとりを持たせた抜け感のあるシルエットと落ち着いた色使いによって、都会的な佇まいに仕上げている。
また、ゆったりとしたフーディーや、袖や身幅にゆとりを持たせ、立体感のあるフォルムに仕上げたフード付きジャケット、ドレープを描くワイドパンツ、たっぷりと生地を使ったサルエルパンツなど、分量感を持たせたオーバーサイズのアイテムも目を引いた。
カラフルな花柄のスウェットは、ボートネックとドロップショルダーによって、身体に沿って流れるようなシルエットに。身頃を縦断するように配した白のステッチや、片側のみの肩にあしらわれたボタン、段差を付けた裾など、細部に遊びを効かせることで、動きのあるデザインに仕上げている。
さらに、変形させたシルエットも特徴的。トレンチコートやテーラードジャケットは、肩から袖にかけて大胆にファスナーをレイアウト。ベンチレーションとしての機能に加え、ファスナーを開いて腕を出し、ジレのようにして着ることができるようになっている。
グレーのジャケットには、背面のファスナーを開くと花柄のレース地が現れる仕掛けもプラス。意外性のあるディテールをバックスタイルに加えることで、前後の佇まいに変化を付けている。
シュールなグラフィックがアイキャッチな、アーティスト・河村康輔とのコラボレーションアイテムも登場。カプセルコレクションでのタッグは2019年春夏以来となり、河村康輔オリジナルのアートワークがウェアに落とし込まれている。
開襟シャツには、モノクロの図像をプリント。1枚の写真ではなく、それぞれのモチーフをコラージュしたかのように組み合わせたグラフィックは、遠近感に差がありどこか歪な印象を生み出している。
また、製品染めジャケットの背面やフーディーにはサイケデリックに歪ませたグラフィックをダイナミックにプリント。不均一にゆがめられた図像はもはや原型を留めておらず、模様のごとく抽象化されている。インパクトのあるプリントながら、静かな雰囲気をまとっているのが印象的だ。