ヴィヴィアン・ウエストウッド マン(Vivienne Westwood MAN)が2014年1月12日(日)、2014-15年秋冬コレクションをイタリア・ミラノで発表した。
ファーストルックは、エンボス加工で柄を浮き立たせたフューチャリスティックな黒のセットアップ。ヘアスタイルは7:3分けのウィッグで、どこか人工的で体温が感じられない印象を受ける。ショーの中で印象に残ったのは、通常はひとつのアイテムをドッキングさせたハイブリッドな表現だ。M65ジャケットとパーカーをジッパーで繋いだアイテムは、非常に複雑な構成の存在感のある1枚。個人的には、ノーカラーのチェスターコートとショート丈のジャケットを重ね合わせたようなコートに心を鷲掴みにされた。
また、どこか中東の匂いのするプリントが施されたワインレッドのスーツ、スペンサー丈のバティック調プリントのグレーベースのスーツ、ライトグレーとミディアムグレーのバイカラーのスーツ(恐らく織りで表現している)など、スーツの提案も多く見られた。ヴィヴィアンには珍しく、1990年代初頭のヒップホップを連想させるカジュアルなセットアップもある。
ヴィヴィアンといえば常にイギリスという国に対して左側のスタンスを貫いてきた人である。今回もプレスリリースで、政府が推進する薬品注入・水圧破砕採掘によるシェルガスの採掘に異議を唱えている。ショーの中盤で、ボタンの位置が右にズレているマキシマムチェックのスーツが出てくるのだが、国民が右傾化していること、分かりやすく言うと「政府・メディアの情報を疑わずに鵜呑みにしていること」に警笛を鳴らしているように思えた。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)