フェンディ(FENDI)の2014-15年秋冬メンズコレクションがミラノで発表された。2014春夏のフェンディのランウェイに敷かれたのは砂だったが、今回は黒の毛足の長い毛皮(驚くことにこれらは全て本物のファーで作られている)が敷かれた。
ファーストルックは、グレーのミドルゲージのハイネックセーターにベージュのウールパンツ。目を凝らして見ると、セーターの両脇からファーが生えているが、これは恐らくセーターとファーをニードルパンチで繋いでいるのだと思う。その後も贅と技術を尽くした圧巻のルックが続く。ボックスシルエットのポロコートには襟元にゴージャスなファーを配置。ムートンのブルゾンは、毛足を染めたものをはめ込むことで民族的な柄を浮かび上がらせている。ミンクのコートはブラウンとブラックが混ざった複雑な色調で、ウール素材のミリタリーコートのインナーには毛足の短いファーが敷き詰められている。
グレーのスーツに白シャツとオレンジのセーターを合わせたベーシックなルックも、ファーの手袋を合わせることで一気に華やかな雰囲気に。グレーのスーツもクローズアップすると、グレンチェックが様々な方向に交錯している(おそらく織りで表現している)。ベースボールキャップの上にファーを載せた帽子は、被ると70年代のKISS的な雰囲気に変身。目が隠れるくらい目深に被るのも新鮮に映る。
人間が初めて身につけたのは言うまでもなく毛皮である。全てがデジタル化した今、様々なジャンルで素材本来の魅力や手作りの温かさが見直されている。きっと洋服もそういう傾向になってきているのだと思う。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)