リック オウエンス(Rick Owens)が、2014-15年秋冬メンズコレクションをフランス・パリで発表した。会場はエッフェル塔を最も美しく見られる場所として有名なシャイヨ宮。窓からはエッフェル塔の中間部分が見えるが、ファーストルックはその中間部分を切り取ったようなシルエットのブラウンレザーのショートオールを主役にしたスタイル。
色は頭の先から爪の先までブラウンで、頭にはターバンが巻かれ、足元はスニーカーとレインブーツが合体したような膝上丈のブーツ。腕を除いて肌を露出する部分をなくし、ショートオールの股の位置を膝上まで下げることで、人間本来のシルエットを逸脱した新しいフォルムを生み出すことに成功している。
縦に長いシルエットのブラウンの行進はその後も続く。お尻を覆う長さのレザーのプルオーバー、中東の民族衣装のような右肩のドレープが特徴のタートルネック、スタンドカラーのレザーブルゾンなどに、バスケットボールのゲームショーツのようなルーズシルエットのショートパンツ、そして前述のスニーカーブーツか先端がワークブーツになったロングブーツを合わせるのが代表的なスタイルだ。結び昆布を首に巻いたようなストールも良いアクセントになっている。
続いてはブラックの軍団が登場。シルエットはほぼ同じだが、チェスターコートや内蔵の一部分を刺繍で表現したようなコートが目新しく映る。最後はグレーベージュに色が切り替わり、フィッシングベストやパラシュートベストを身につけた砂漠の救援隊のようなマッチョな男たちがランウェイを駆け抜けた。
カラーパレットは、ブラウン、ブラック、グレーベージュの3色のみ。最後のグレーベージュにはブラックを少し混ぜているが、基本的にワントーンのコーディネートを10数ルックずつ見せる形でショーを構成した。
コレクションと絶妙に連動した音は、1980年代にニューヨークで人気を集めた3人姉妹のバンド、ESGの「ムーディー」をリミックスしたもの。我が道を行くリックらしい唯我独尊のコレクションで、レザーのショートオールやスニーカーブーツは争奪戦になりそうだ。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)