A.P.C.(アー・ペー・セー)の2023年秋冬コレクションが発表された。
「ママ、今夜出かけてくるよ(Maman je sors ce soir)」と題された今季のA.P.C.。そのタイトル通り、子どもたちが夜に遊びに行くようなルックが見受けられる。クラシカルでフォーマルな装いから、友達と近場で遊ぶようなカジュアルな装いまで幅広いスタイリングを提案している。
なお、モデルには、デザイナーのジュディスとジャン・トゥイトゥの娘であるリリーが通う高校の生徒たち31名を採用。今季は、ティーンエイジャーをモデルとして登場させることで、ティーン世代にとっては当たり前ともとれる性別や時代、プロポーションの概念を曖昧にさせることを目指した。
名門私立学校に通う良家や裕福な家庭の子息に対する俗称であるプレッピールック。今シーズンは、そんなフォーマルなスタイルを覆すような、意外性のあるルックが披露された。デニムジャケットとジーンズを組み合わせたルックはその一例。カナディアンタキシードことオールデニムのスタイルで、スーツのように着こなしている。
また、セルビッチデニムのミニスカートやハイウェストジーンズと、ストライプシャツとの組み合わせにも注目。足元に光沢感のあるペニーローファーを合わせ、カジュアルにアイビースタイルを表現した。
印象的なのは、ティム・バートンが監督を務めるアメリカのテレビドラマ『ウェンズデー』の主役で、『アダムス・ファミリー』のキャラクターでもあるウェンズデー・アダムスを想起させるシルエット。作中衣装からインスパイアされたブラウスやコートには、シンプルでありながらも精巧なカッティングを施すことで、ゴシック様式を再考した。
グランジスタイルも今季の特色のひとつ。たとえば、裾が長めのボトムスの上からフラワープリントのドレスを重ねたスタイルなど。ドレスの上にはさらにオーバーサイズのカーディガンを合わせ、よりルーズさを増している。
グランジファッションに欠かせないチェック柄のフランネルシャツは多様な着こなしで登場。Tシャツの上に羽織り、アニマル柄のスカートと合わせたり、デニムのロングスカートの上から腰に巻いたりと、学生たちの大胆なコーディネートを反映した。