ウジョー(UJOH)の2023年秋冬コレクションが発表された。
ブランドの現在地を見つめ直すことを試みたという、今季のウジョー。コレクションの軸となるのは、洗練されたカッティングに基づくウジョーならではのテーラードスタイルだ。シックなチョークストライプのファブリックを中心に採用し、ほどよい抜け感を感じさせるシルエットに仕立てている。
ジャケットは、クリーンで佇まいを基調としつつも決してミニマルにすぎることはなく、衣服の動きを感じさせるデザイン性を取り入れている。それをたとえば、サスペンダーによって架橋したセパレート仕様のシングルブレストジャケットや、ブランドが定番的に展開するフロントスリット入りのジャケット、あるいはジャケットのデザインを採用したアシンメトリックなエプロンなどに見てとることができる。
アシンメトリックなエプロンやジレ、そしてサスペンダーがテーラードスタイルに多層性をもたらすように、コレクション全体にレイヤードを豊かにするアイテムを散りばめることで、通常はソリッドなものと捉えられるテーラリングに動きをもたらしている点も特徴だ。また、ロングコートに大胆なスリットを設けることで、着こなしの多層性と動きの躍動感を同時にもたらしている。
このように、今季のウジョーが身体と衣服の運動に光をあてているのだと捉えるならば、それは柄にも敷衍することができる。オーバーシルエットのブルゾン、シャツドレスやプリーツスカートには、舞い踊るような花柄を鮮やかな色彩で描き出している。その着想源となったのは、前衛的ないけばなアーティストとして知られる中川幸夫が、2002年に行ったパフォーマンス《天空散華》だ。空から放たれた幾多もの花びらが降り注ぐなか、舞踏家・大野一雄が踊るというこのパフォーマンスは、静的なものと捉えられているいけばなを動的な作品へと昇華しており、これが今季のウジョーに反映されているといえる。
カラーは、落ち着いたオリーブグレーやネイビーを中心に、くすみのかかったピンクやレッドを取り入れることで、コレクションに華やぎをもたらしている。