ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)の2023-24年秋冬コレクションが2023年3月14日(火)に東京・グランドプリンスホテル高輪 貴賓館で発表された。
着想源となったのは、写真家としてキャリアをスタートさせ、後に映画監督に転身したジェリー・シャッツバーグ(Jerry Schatzberg)の写真集『WOMEN THEN』。1954年から69年にかけて撮影された作品の中に登場する女性のふるまいとエレガンスが、今季の女性像を表現する上で大きなヒントとなったという。
発表の舞台も『WOMEN THEN』に収録されているファッションショーの写真からインスパイア。マルク・ボアンがデザイナーを務めていた頃のディオールや、最初期のイヴ・サンローランのように、サロンのような雰囲気の中で観客の近くをモデルが歩いていくショーを「貴賓館」で再現した。
ファーストルックはブラックのタートルネックトップスにロングコートを羽織ったシックなスタイリングからスタート。続くルックもブラックのロングドレスで、徐々にブルー、グリーン、ベージュ…と色づいていく。物語性を感じさせる『WOMEN THEN』のモノクロからカラーへと移り変わる構成が、ここにも落とし込まれている。
時折差し込まれたスワロフスキーのフリンジは、コレクションに漂うエレガントなムードを加速させていく。ノーカラージャケットとパンツのセットアップには、一筋の光がさすかのごとく、縦のラインに沿ってフリンジをあしらって。袖口から顔をのぞかせるデコラティブなブレスレットは、ブランドが大切にしている仕草で見せる美しさを体現している。
ユニークな素材が繰り返し提案されたのも今季の特徴といえる。たとえば、淡いグレーとブルーのバイカラーのケープコートには一捻り効かせたシルクを採用。繊細なシルクをわざと何度も毛羽立たせることで、やわらかいカシミアのような質感に仕上げている。
本来スポーティーな印象を与えるダウンジャケットには、膨れ織ジャカードのシルクオーガンジーを使用。パターンへのこだわりも相まって、クチュールライクな一着へと昇華させている。
今季のルックを完成させる上で欠かせなかったというハットは、前方と比較して後方を長く設定したユニークなシルエットで。前後を逆にして着用すれば、キャップのようなルックスを楽しむこともできる。