フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)の025-26年秋冬コレクションが2025年3月25日(火)、恵比寿ガーデンプレイスのセンターエリアにて発表された。テーマは、「TSUBOMI」。
花を開くため、様々な姿へと変容しながら、かすかな光を求めて生きている蕾。太陽の光や水を浴び成長していく蕾は、いきいきとした生命力に満ちている。そんな蕾が咲く瞬間の力強さや美しさを衣服に落とし込んだコレクションを展開する。
今季、デザイナーの田中文江が試みたのは、定型を崩すことだ。ファーストルックで登場したグレーのジャケットは、あえて布地を斜めに裁断する"バイアスカット"を採用。襟やポケット、袖の縫い目にフリルをあしらい、"まるで花びら"のようなデザインを浮かび上がらせた。またフード付きジャケットや、半分のみの見頃で構成されたテーラードジャケットも、固定概念を打ち破った例といえるだろう。
ボアやファーといった秋冬らしい温かみのある素材を多用していたのも印象的。たとえば生命力あふれるヒョウ柄のボアコートには、情熱的なバラを組み合わせ、躍動感を加速させた。さらに、真っ白の“ふわふわ”ビスチェや3段のティアードスカート、オーガンジー素材をベースに、襟と裾、ポケットのみファーをあしらったコートなどが次々と披露された。
いきいきとした花々は、"情熱”を意味する真っ赤なバラをプリントしたワンピースやシアートップス、ヘッドピース、立体的なフラワーモチーフを施したテーラードジャケットなどで表現されている。カラーパレットは、コレクション全体を通じてグレーやブラウン、ダークグリーンなどの土を思わせるアーシーカラーから、鮮やかなグリーンとレッドへと移ろい、蕾がだんだんと開花していく様を感じられた。
ラストを飾るのは、花が咲いた蕾を表現したビーズが全身を覆う、華やかなルック。すべて手作業で作られた“ビーズの蕾”は、1つも同じものはなく、「どんな姿でもいい、ありのままが美しい」という田中のメッセージが込められている。