ホウガ(HOUGA)の2025-26年秋冬コレクションが、2025年3月17日(月)、東京・池袋の重要文化財 自由学園 明日館にて発表された。テーマは、「Spell on my boundaries」。
毎シーズン、“ホウガの国の物語”をインスピレーション源とするホウガ。エピソード07となる今シーズンは、境界のない国からやってきたとある女性が主人公だ。正解が存在せず、曖昧さ、矛盾さも何もない国から現代社会へと迷い込んだ彼女は、なんでも型にはめ、“輪郭”を必要とする世の中に混乱する。それを打破するために必要なのは、自分の中にある“魔女=魔法”を信じて境界に魔法をかけること。今季は、ホウガの服を通して不安や迷いから解放されることを願って、ファンタジックな空気に満ちたコレクションを展開する。
特筆すべきは、晩餐会をイメージしたドレスの登場だ。目を惹くのが、シャンブレーシルクオーガンジーのフリルを贅沢に重ねたドレス。素材が織りなす軽やかさと、胸元から裾にかけてたっぷりと配したフリルの荘厳さが絶妙なバランスで混在し、自分自身に自信を与える。
なお“晩餐会ドレス”は、今シーズン誕生したスペシャルライン「ホウガ バンケット(HOUGA Banquet)」によるもの。祝宴や晩餐会などの特別な瞬間に彩りを添え、シルクオーガンジーやウールを使用した高級感と高揚感を纏えるようなラインだ。コレクションでは、ドレスのほか、落ち感の上品なウールにシルクのフリルをドッキングしたスラックスやビスチェも登場した。
現実における当たり前や正解を求められることに反抗するように、上述した“ドレス”と、ホウガが得意とするトラッドな“制服”を、自由なスタイルで提案。クラシカルなタータンチェックで彩ったテーラードは、ジャケットとパンツ共に、裾にギャザーを寄せてアクセントをプラスした。また、同じくタータンチェックのシャツは、異なる配色のシャツ同士をドッキング。従来の服作りから解放されたような、自由な感覚を取り入れている。
キーワードでもある“魔女”にちなんだルックで溢れていることも、今季の特徴の1つ。魔女が森で集めた草花や木の実の柄をストライプ柄にしたテーラード風ドレスがその好例だ。ジャカード生地で仕立てたドレスは、シングルジャケットをベースに、ふんだんに生地を重ねることで、ボリューム感のある1着に。ヴィクトリアンスタイルのドレスに見られる、おしりをふくらませるための下着・バッスルを取り入れているような、ふくらみのあるバックスタイルもポイントだ。
また、魔力を秘めた魔除けのような組紐を組み合わせたスカートやバスケット風ハンドバッグ、薬草を思わせるシルクオーガンジーとガラスビーズを用いた小物なども。これらは、デザイナーの石田萌が現実世界で生きやすくなるようにとの願いを込めて取り入れた、ファンタジーの“かけら”である。