ティート トウキョウ(tiit tokyo)の2025-26年秋冬コレクションが、東京コレクション会期中の2025年3月19日(水)、東京・京橋の戸田ビルディングにて発表された。
今シーズンの着想源となったのは、デンマーク/フランス合作のミステリー映画『獣は月夜に夢を見る』。北欧の小さな漁村を舞台に、自らが恐ろしい獣に変貌する宿命だと知った少女の葛藤と恐怖、叶わぬ恋の哀しさを描いた作品だ。コレクションでは、映画の切なくも叙情的なムードを、センシュアルな素材感やカラーで表現した。
コレクションは、グレイッシュなテーラードから幕開け。“ティート流”のフェミニンなスタイリングにより、本来ハンサムな性格のスーツを女性らしく再解釈した。たとえばファーストルックでは、ジャケットの下にリボン付きのニットを忍ばせて甘さをプラス。続くルックでも、首元のレイヤードにより、エレガントな遊びを加えた。腕を捲ることで、女性の華奢なラインを露わにしているのもポイントだ。
ティート トウキョウの代名詞と言える、スキンコンシャスなウェアは今季も健在。ネイビーのブラウスやスカートは、繊細なレースにより肌を透かし、儚げな余韻を残している。このほかにも、身体にやわらかく馴染むようなサテンのドレス、霞がかったような質感のシアーシャツなどが、幻想的なムードをもたらしていた。
映画の中で描かれる“夜の闇”のイメージを引用し、カラーパレットはクールトーンで統一。ディープブルーやブラック、グレーを基調に、刻一刻と深まっていく夜を表現した。時折挟み込まれる艶やかなベージュが、ひんやりとした夜を照らす月明かりのように、優しい明るさをもたらしている。
ロマンティックな雰囲気を後押しする、レースや刺繍使いにも注目したい。クラシックなジャケットとハーフパンツのセットアップは、薄いレースを纏わせることでよりドレッシーな表情へと格上げ。随所に用いられた花柄の刺繍モチーフも、光の反射でさりげなく煌めきながら、コレクションにガーリーなアクセントを添えていた。