アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)の2014-15年秋冬コレクションテーマはNumérique(=デジタル)。デザイナー自身が強く惹かれている「デジタル技術」をフィーチャーしたコレクションだ。
真っ白のランウェイをキャンバスにしたプロジェクションマッピングが今回のキーとなる。無数のドットが映し出され、その点と点が結ばれ線に。続いて多面体や展開図が目まぐるしく動くアニメーションと共に、ショーは始まった。このプロジェクションマッピングの演出を担当したのは、FORMES Inc.。
ファーストルックはシンプルな赤とグリーンと青のカラーブロック。次第にデジタルプリントによる、複雑なグラフィックへと移行していく。中盤になるにつれて、より様々なファブリックやテクニックにより「数字が生む出す模様や形」が多様に表現された。ベースとなったのは、ベーシックなシルエットのワンピースやスポーティなセットアップなど。メンズ・ウィメンズともに、アウターやトップスはドロップショルダーのものが主流。
終盤にかけては、ラメ糸を混ぜたジャカードや、テープや配色により強調された立体の、張りのあるネオプレンを多面体のように切りかえることで作りだす、アームを誇張させた甲冑のようなフォルムなど「デジタル」をより印象付けるルックが登場。プロジェクションマッピングとショーピースがランウェイ上で一体となっていた。
モデルに装着されたセンサーが、ウォーキングなど動きに合わせて反応するというインスタレーションもショーに組み込んだ試みが象徴するように、デジタルをファッションショーに取り入れるという目的を実現させたアツシ ナカシマ。デザイナーの中島篤はショーの後、「服と映像やデジタルを結びつけたことをやりたかった。今後もデジタルとファッションの試みは継続していくかもしれない」と語った。