2014年3月18日(火)、アライサラ(araisara)の2014-15年秋冬コレクションが、東京・銀座の映画館、丸の内TOEIで発表された。テーマは「紅の心象」。冬になり葉が落ちていくことの切なさと、それでもまた春には花を咲かせる、極寒に耐えるエネルギーや生命力を表現した。
赤と黒のインクが互いに混じりあう、そんな妖艶な雰囲気の映像がスクリーンに映し出されてショーはスタート。これから何が起こるのだろうという、まるで映画が始まる前のような好奇心が会場を取り巻いた。
カラーパレットは赤と黒がベース。生きていく上では様々な困難やチャレンジがあるということを、エネルギッシュな赤と静寂の黒が物語っている。
伝統技術と現代技術を共演させたかったと語ったのは、デザイナーの荒井沙羅。マテリアルには、旭化成の伸縮性素材を用いた。どんなに伸ばしてもテキスタイルを壊さないその高度な伸縮性は、現代テクノロジーの賜。そこに昔の着物の帯に使われていた花のモチーフを落とし込むことで、過去と現代の出会いを実現させた。
着やすさにこだわったというシルエットは、無駄を最小限に抑えたミニマルなスタイル。ゆったりとしたラインはどこか抽象的でリラクシングな印象。インナーはコンパクトにまとめることで女性らしさも演出している。着心地が良いけれど華やかな洋服を作りたいというデザイナーの思いは、上品なフォルムとリュクスなテキスタイルによって叶えられていた。
スクリーンを効果的に使用し、全く新しい形のショーで会場を沸かせたアライサラ。時を越えてあり続ける普遍的なものたちを、時と場所を超える映画と重ね合わせるため、映画館という場所での発表を決めたと荒井は語る。彼女が見せた、儚く消えそうになりながらもあり続ける生命の不思議な強さは、今を生きる私たち自身のことも表しているのかもしれない。