アリスアウアア(alice auaa)が、2014-15年秋冬コレクションを2014年3月21日(金)に発表した。
会場が何も見えないほど真っ暗になり、バチバチという音とともにスポットライトが点滅を繰り返す。うっすらとした光でやっと前が見えると思うと、そこには仁王立ちしたモデルの姿が……。顔はマスクで覆われ、丁髷のようにツンと伸びた装飾のヘッドピースをかぶった出で立ちは、強烈な存在感で観客を惹きつける。
「The Grave of a Beast」と名付けられた今季。“獣たちの墓場”、デザイナーの船越保孝はコレクションのタイトルをそう呼ぶが、さらに掘り下げると、美しい獣たちが救う街の様子を描きたかったと話す。これまで一人の登場人物をイメージしてきた船越だが、今回は初めて集団のイメージを表現し、とびきりタフでエロティックな女性像を見せつける。
前半は、パイソン柄のフロッキー加工をツイードに施したフィット&フレアのドレス、ファーをあしらったノースリーブジャケットなど、ハードでありながら上質な素材の装いを披露する。その後は死神のようなベルベットのガウンが登場。フードには網のような装飾がなされ、足元まで紐をなびかせて妖しいオーラを会場中に振りまいた。
これまでのゴシックなムードは残しつつも、今季はボンデージの要素が非常に強い。胸元を大きく開いた、ロングヘムのジャケットには肩章やスタッズをあしらい攻撃的なイメージに。またレザーを使用したアイテムは多く、タートルネックのノースリーブトップス、コルセット風のアシンメトリーのベアトップス(背中にはバッグが合体している)など、露出と抑圧をコントロールする。
また誰もが注目したであろう“尻尾”は、今季のコレクションに欠かせないアイテム。コートやドレスのジップから除くヒップにはメタルがとりつけられ、そこから頭まで伸びる尻尾が、歩くたびにゆらゆらと揺れる。
2013年12月に来日したレディー・ガガ(Lady Gaga)の新作アルバムの記者会見の衣装を担当するなど、著名人の服をデザインする機会が増えたという船越。「今回の服の9割は自分で縫った」と話す様子は、達成感の表情がうかがえる。また記者から「今回は特にエロティックだった」と感想を述べられたときは、「とても嬉しいです」と心からの笑顔を見せていた。