コシェ(KOCHÉ)の2024年春夏コレクションが発表された。
「ファッションにおけるワードローブとは?」。そんな問いを投げかけ、セーヌ川に浮かぶ船の上で発表したクリステル・コーシェによる今シーズン。コシェが得意とするストリートカジュアルなスタイルと、品位あるクチュールを繋ぐ架け橋としてのコレクションを作り上げた。
先述した「ファッションにおけるワードローブ」とは、つまるところビジョンを具体的に表現したものであり、細部にまでこだわり抜き全体の調和がとれたものであるとクリステルはいう。それを裏付けるように、巧みな幾何学模様の刺繍が施されたトップスをはじめ、ぼかし細工、レース、モスリン生地やクレープ生地といったコシェならではのハンドクラフトが光るディテールが見受けられる。
たとえば、パリの工房にて開発された刺繍は、様々なストレッチ素材と組み合わされ、ジャージー素材には煌めきを放つクリスタルや刺繍を配した。
中でも目を見張るのは、銀色の葉のような装飾で覆われたトップス。シルバーに光る葉は、太陽光を浴びてより輝く。葉や花を描いたハイウエストのパンツと組み合わされ、上品さの中にも気軽さを内包させたルックとして登場した。
本コレクションは、フェミニニティを表す叙情詩でもあり、同時にマスキュリン、繊細さと脆弱性といった要素をも体現するものとなっている。例として、クリステルお気に入りの女性アーティストの言葉の手書きプリントを施したシャツとパンツが挙げられる。シンガーソングライターのパティ・スミス、小説家であり映画監督であるヴィルジニー・デパント、小説家のヴァージニア・ウルフやセリーヌ・ミナールらの言葉を配したウェアは、いずれも男性モデルにより着用された。
また、いずれのルックもより快適で、より着心地の良いシルエットなのがポイント。レースやクレープ生地を採用したドレスまたはスカートは、美しく柔らかに揺れ動く。ロングテーラードコートと合わせたグラフィカルなショート丈のドレスは、マニッシュなムードも漂わせている。