ヘオース(HEōS)の2024年春夏コレクションが2023年8月30日(水)、楽天ファッションウィーク期間中に渋谷・ヒカリエホールBにて発表された。
今季のヘオースは、村上龍の小説『限りなく透明に近いブルー』にインスパイア。"何者かになりたい”と願いながらも自堕落な生活を送る若者たちが、苦しさや空虚の先に"真に大切なものと希望”を見出すストーリーだ。挫折により、かつては辛い時期を過ごしたというデザイナー・暁川翔真が自らのルーツを振り返り、ファッションとして再定義するコレクションを展開する。
特徴的なのは、全体を通してリラクシングなシルエットに、物語の主人公・リュウが住む米軍基地に着想したアメカジ要素が盛り込まれている点。迷彩服を思わせるユニークなカモフラージュ柄のコートやセットアップをはじめ、パイソン柄の透けたトップスや麻のアクセサリー、足元のカウボーイブーツが存在感を放っていた。
また、作中に登場するキャラクターやモノもデザインソースに。例えば、羽根付きのヘッドアクセサリーと全身ブラックのワントーンでまとめたルックは、“黒い鳥”を表現。さらに、中毒性のある薬物“ニブロール”のタグが一面にあしらわれたシャツなども披露された。不規則に大胆な穴を開けたニットは、リュウの退廃した日々と傷ついた心を暗に示しているようだ。
カラーパレットは、荒廃するリュウの心を映し出すようなグレーやブラウンベージュ、ブラックを基調に、アクセントとしてライトブルーのベロア生地で作られたパンツ、バーガンディのシアーシャツ、マスタードイエローのタイダイ柄スカートなどが差し込まれている。そしてランウェイは、天井から花火を降らせるという儚くも美しい、“希望の光を表す”演出で幕を閉じた。