アンダーカバー(UNDERCOVER)は、2024-25年秋冬ウィメンズコレクションを2024年2月28日(水)に発表した。
ドイツの映画監督であるヴィム・ヴェンダースの詩「Watching a Working Woman」にのせて発表された2024-25年秋冬ウィメンズコレクションのテーマは“日常着のアンダーカバー流アップデート”。働く1人の女性の日常を綴る詩の中には繰り返し、“As always”=「いつも通りに」という言葉が登場する。モデルたちは、バゲットや花を入れたショッパーバッグやヨガマットを運ぶバッグを手に持ちながら、街角を行き交う人々のごとくランウェイを闊歩する。
なお、オーガンザのショッパーバッグはブリジットタナカ(BRIGITTE TANAKA)とのコラボレーションによるもの。この他、ノグチ(noguchi)とのコラボレーションジュエリーや、ビューティフル・シューズ(BEAUTIFUL SHOES)のシューズ、キジマ タカユキ(KIJIMA TAKAYUKI)とのコラボレーションハットも披露された。
コレクション全体を通じて展開されたのは、ドッキングデザインのベーシックウェア。再構築するためのドッキングというよりも“一体化”させる意味合いが強く、従来は個々に身に着けてコーディネートする日常着を圧着によってドッキングすることで、身体に馴染むようなシルエット、気負わない自然体の佇まいに仕上げている。たとえばデニムは解体されキャミソールに連結。また、スラックスはノースリーブワンピースと一体になり、オールインワンとして提示されている。
また、ドッキングされたパーツがデザインのアクセントとして機能しているのも印象的だ。全く異なる素材同士を大胆にはみ出しながら接着することで、日常からはみ出す非日常性を与えている。セーターに組み合わせたしなやかなブラウス生地は、波打ちながらエレガントなドレープを描く。かっちりとしたテーラードジャケットに合わせたブランケットや、ライダースジャケットに配した白黒のマフラーは、身体の動きに合わせて揺らめき、温かみを感じる佇まいに。ニットカーディガンにはファーのパーツを組み合わせ、より一層柔らかな表情に仕上げた。
異なる要素のドッキングは徐々に装飾性を帯び、非日常性を強めていく。ファーをあしらったレザードレス、ゆらめくマントをプラスしたシャツ、大判の花柄ストールを合わせてドレスに仕立てた白Tシャツなどが登場。中でも一際存在感を放っていたのは、デニムやチェスターコート、スウェットなどに配されたきらびやかなフリンジだ。レザートートなどのバッグにも貼り付けるようにして大胆に装飾。歩を進めるごとに揺れる躍動も相まって、華やかな余韻を残していく。
ラストにはドレスルックが披露された。よく見ると、ベースとなっているのはケーブル編みニットやTシャツ、スウェットの上下といった、この他のピースと同様のデイリーウェアだ。メタリックに輝きながらたなびくトレーンや、チュールを幾重にも重ねた贅沢な分量感などによって、日常着が特別感あふれる装いへと大きな変化を遂げている。こうした非日常的なエッセンスが“日常”に変化をもたらす様子は、日々の中にふと差し込まれる特別な出来事を連想させる。