ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の2024-25年秋冬ウィメンズコレクションが、2024年3月6日(水)にパリで発表された。
今季のコレクションは、ニコラ・ジェスキエールが手掛けた10年間にわたる大胆なクリエーションの軌跡を讃えたもの。構築的なシルエットやトロンプルイユプリント、装飾的なディテールといったニコラの象徴的なスタイルコードを通して、これまでの旅を回顧するようなノスタルジックなルックを展開した。
まず目を惹いたのが、テクニカル素材を用いたレトロフューチャーな雰囲気のスタイル。ウエストをキュッと絞ったナイロンのブルゾンや、シアーなポケットを備えたスカートといったスポーティーなアイテムを基調としつつ、フェザーが揺らめくグローブやクロコ調レザーブーツなどの高級感のある小物使いによって、あくまでエレガントな佇まいに仕上げている。
トランクを描いた“だまし絵”デザインのドレスは、メゾンの伝統を讃えるかのような1着。布そのものが意思を持って主張する構築的なシルエットに、モノグラム・キャンバスや補強を施したコーナー、ビスのディテールが浮き上がり、まるでトランクそのものを纏っているかのような錯覚を引き起こす。
2018年春夏コレクションを思い起こさせる、大胆な刺繍を施した洋服の数々にも注目したい。18世紀フランス貴族の衣装の趣を残した立ち襟のジャケットは、光沢を湛えた立体刺繍によってうっとりとするほどラグジュアリーな仕上がりに。今季はその煌びやかで格式高い雰囲気を、肌を透かすローゲージのインナーと、レザーのミニスカートによって、エッジーに寄せているのが特徴的だ。
ラッフルをたっぷりとのせたボリューミーなスカートは、2020-21年秋冬コレクションからインスパイア。当時と同様、マニッシュなノーカラーのブルゾンに、ふんわりと膨らむフェミニンなスカート、そして中立的なローファーというアンバランスなスタイルによって、ジェンダーの垣根を曖昧にしている。
本コレクションの会場となったのは、パリ ルーヴル美術館の中庭クール・カレ。ここはメゾンにとってアイコニックなショー会場であり、二コラ・ジェスキエールがちょうど10年前にファーストコレクションを発表した場所でもある。アルバムをめくるように10年の旅路を振り返りつつ、またここから新たなクリエイティブの出発を決意する、そんな記念すべきショーとなった。