フェティコ(FETICO)の2024-25年秋冬ウィメンズコレクションが、2024年3月13日(水)に東京都国立博物館で発表された。
テーマは「Eternal Favorites」。デザイナーの舟山瑛美は日頃から、女性が、歳を重ねることに後ろめたさを感じ、エイジングを理由に自由な感性を失ってしまうことを悲観的に捉えていると語る。いくつになっても少女のように、好きなものを愛でていたい。そんな素直な気持ちを肯定するかのようなテーマを掲げた今季は、舟山が幼少期から好んでいる映画『アダムス・ファミリー』のゴシックな世界観や、アメリカの絵本作家 エドワード・ゴーリーのダークな作品群、ブロードウェイ版『ドラキュラ』やドイツ人アーティストのハンス・ベルメールが手掛けた奇妙な人形などを着想源としている。
ドレスの胸元やトラウザーのサイド、ボディスーツのスリーブや背面などで散見されたのは、ゴシックな雰囲気を漂わせるクロスカットのディテール。施された十字の切り込みは、わずかに素肌をのぞかせ、秘めたる女性的な色気を解放していた。
また、クロスカットをフェミニンなフラワーモチーフに昇華させたデザインも登場。ニットトップスやドレスにあしらわれていた。
フェティコらしいランジェリーライクなモチーフは、コルセット風のビスチェでお目見え。チュールのベビードールブラウスや、ネグリジェを彷彿とさせるキャミソールドレス、ガーゼのシャーリングドレスなどに取り入れられた。腰回りのラインに沿うようにフィットするコルセット風のピースは、身体のメリハリを強調し、洗練されたスタイルを叶えている。
また今季を象徴する素材として、福井・鯖江産の上質なベルベットがあげられる。肩にフリルをあしらったジャケットや、ビスチェなどあらゆるウェアで採用された。マットな光沢感のベルベット素材は、多彩なスタイルにエレガントな存在感を与える。しなやかな素材感で、ドレスやスカートでは優雅なドレープを生み出しているのも印象的だった。
女性の造形美を浮かび上がらせるタイトなシルエットは今季も健在。しかしその一方で、キルティングの素材使いによる立体的なフォルムや、ジャケットのパワーショルダーなど、大胆なシルエットもひと際目を惹いた。特に注目したいのが、ボディとスカート部分をキルティングで切り替えたドレス。絶妙な光沢感で、歩みを進めるたびに異なる表情を見せていた。
カラーパレットは、ホワイトやブラックのベーシックな色彩をメインに。ブラウンのジャケットやボルドーのオフショルダーワンピースなども加え、全体的に落ち着いたトーンでまとめられていた。束の間差し込まれたライトブルーのサテン風シャツやデニムスタイルは、モノクロ中心の世界にささやかなアクセントを添えている。
また、コラボレーションアイテムも登場。イギリスのバッグブランド「ザ・ケンブリッジ サッチェル カンパニー(The Cambridge Satchel Company)」とのコラボレーションバッグや、ハットブランド「ミサハラダ(misaharada)」とのバケットハットやボーターハットなどが揃う。