ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)の2025年春夏メンズコレクションが、2024年6月15日(土)、イタリアのミラノにて発表された。
今季のドルチェ&ガッバーナのテーマは、「イタリアン・ビューティー(ITALIAN BEAUTY)」。テーラリングや手仕事をはじめ、イタリアの伝統と多様な文化に着想を得たそのコレクションは、軽快な素材感、風を孕んで心地よく膨らむボリューム感を基調に、春夏らしい涼やかでリラクシングなエレガンスを漂わせている。
涼やかなエレガンスを体現する例として挙げるべきは、ラフィア素材を編み込むことで仕上げたブルゾンなどだろう。オーバーなシルエット、ハリで膨らみのあるフォルムを作りつつ、そこには編み込みならではの空気が抜ける涼やかさを見て取ることができる。何より、通常は身体と環境を遮る役割を果たす衣服は、ここではもっと透過的で、空気が行き交う媒体となっているとでもいえる。
編み込みが手作業で作られる素材ならば、ビーズ刺繍もまたこうした緻密さを示す要素として挙げることができるだろう。ホワイトやブラックのシャツやパンツには、レッドやオレンジの装飾を施すことで、シックなモノトーンのなかに鮮やかな華やぎをもたらしている。編み込みとともに、ビーズ刺繍には伝統的な手作業への敬意を感じることもできるだろう。
さて、シルエットと素材それ自体が持つ涼やかなエレガンスに戻るとしよう。たとえば、テーラリングはクラシカルなイメージの強いダブルブレストが基調。しかし、セットインのショルダーに余裕を持たせたボックスシルエットにより、ほどよい抜け感を演出するとともに、素材にはリネンを用いるなど、清涼な息吹を吹き込んだ。
一方、パンツはテーパードシルエットを軸に、クロップド丈やロールアップ、あるいはショートパンツを数多く取り入れるなど、足元はきわめて軽やかだ。そこに合わせた編み込みのシューズも、こうした雰囲気に呼応するものだろう。このようにパンツは、空気をはらむようなボリュームを持ちつつも、あくまで足取りは軽快に仕上げている。
カラーは、ブラックとホワイトという無彩色の涼やかさを軸に、編み込み素材に用いたベージュのナチュラルさ、深みあるグリーンやバーガンディの落ち着きあるシックさを交える。緻密な手作業に支えられた装飾がそこに花を添えるばかりでなく、シャツやパンツに極太のストライプを採用するなど、繊細さと大胆さをコレクションに調和させているといえるだろう。