ロンドン・ファッション・ウィークの最終日、オズワルド ボーテング(Oswald Boateng)は2011年コレクションを発表した。
フィルムの制作にも類い稀な才能を発揮するオズワルドのショーは、最初に彼自身が制作したショート・フィルムが上映されることで知られる。今回のフィルムのタイトルは「A Man's Story」。90年代以降のデザイナー自身の歩みを振り返るドキュメンタリーで、2010年のトロント国際映画祭にも出展された。
サヴィル・ロウのテーラード技術をベースにシャープかつモダンに仕上げたスーツ・スタイルの美しさは健在。ジャケットの形は1つボタン、2つボタン、ダブルなど多彩だが、ノッチはいずれも高く保たれ、ナロー・タイを合わせてタイトにまとめる。素材もシルク混のスーパー150'Sウールや、100%軽量カシミアなど、なめらかで艶のある質感が遠目にも美しい。色もベーシックな黒やライト・グレーに加え、シャイニーナブルーやグリーンなど、バリエーションに富む。鮮やかなピンクやグリーンのシャツを合わせたスタイルも強烈だ。
ボトムスの提案は多様で、細身の膝上丈ショート・パンツにシャツとジャケットを合わせてみたり、レザーのショート・ショートパンツにはレギンスをレイヤード。きっちりとしたサヴィル・ロウのスタイルをカジュアルに着こなすための提案だ。
フィナーレは100人ものモデルが全員ランウェイに勢揃い。クオリティ、ボリュームともに圧倒的なスペクタルに会場はおおいに沸いた。父親とともに姿を見せたオズワルドは1500人の観客にスタンディング・オベーションで迎えられ、「キング・オブ・サヴィル・ロウ」としての健在ぶりをロンドンに見せつけた。