アカネ ウツノミヤ(AKANE UTSUNOMIYA)の2025年春夏コレクションが発表された。
今季は「ボリューム(Volume)」をテーマに、シュルレアリストとして知られる女性芸術家メレット・オッペンハイムの作品から着想を得たコレクションを展開。オッペンハイムは、故郷であるスイスからパリへと渡り、伝統やメソッド、型に囚われないアートを、多様な素材と新しい方法で表現してきた。コレクションでは、そんなオッペンハイムの独創性を反映したシルエットやカラーリング、素材使いが見受けられる。
大きく目立つのは異質性を生み出したシルエット。何枚もの生地を重ねたスカート、ギャザーでふわりとしたふくらみを持たせたアウターなど、変化をつけたシルエットが印象的だ。
同時に、身体に巻き付くようなデザインで、隙間から肌が見えるタイトなトップスやサイドに切込みを入れたキャミソールなど、センシュアルなウェアが登場したかと思えば、ルーズなニットシャツや空気を含むようなボリュームのサルエルパンツ、ゆったりとしたコートなども見受けられるなど、フォルムの多彩さからも枠にとらわれない自由さを感じとることができる。
タイトなトップスとフレアスカートの緩急をつけた組み合わせや、ぴったりと身体にフィットするニットウェアとサスペンダーパンツの重ね着など、直感的に重ねて着ても様になるルックが散見される。ミニスカートにパンツをドッキングさせたボトムスには、キャミソールと極端に短いカーディガンをマッチさせ、新たなバランス感覚を創出している。
テーマは、色のコントラストが生む違和感を織り交ぜたカラーパレットにも表れている。ベースには淡いピンク、ブルー、ベージュを採用し、強さを感じる対極的な緑、オレンジ、紫を組み合わせることで意外性のある配色を生み出した。例えば、紫と黒をアクセントとしたライトブルーのトップスには、ペールブルーのパンツを合わせ、ヴィヴィッドな赤と白の羽織りものをチョイスしている。
ニット素材のバリエーションにも注目。定番のエジプト綿から、極細綿、ぽつぽつとした節の模様を魅せるネップ素材など、使う糸によって個性的な風合いを生み出している。柔らかなピンクのニットトップスは、シアーな透け感で繊細な風合いに。幾何学模様のニットカーディガンは、鮮やかな発色としっかりとした感触で存在感のある1着に仕上げた。ボルドーのニットドレスは、編地によって生み出される緩やかなドレープがエレガントな佇まいを演出する。