ポール・スミス(Paul Smith)が、2015年春夏ウィメンズコレクション。肩の力を抜いたエフォートレスなスタイルにマスキュリンの要素を加え、シャツやジャケット、パンツなどベーシックなアイテムを中心に展開した今季のポール・スミス。
上品に仕立てたのは、肌触りのよいコットンやきめの粗いリネン、ツヤのあるサテン地など、テクスチャーの異なる厳選された素材。パンツのポケットやスカートのウエストマークなど、部分的に組み合わせることで、ファブリックの持つ魅力を互いに引き立て合った。またライトブルーやオフホワイト、ベージュ、カーキといったナチュラルなパレットが、柔らかさや光沢感を強調させた。
ナチュラルムードの中、同ブランドらしいボーダーのアイテムも。特徴的なマルチカラーのボーダーはホワイトのフリンジを組み合わせることでやわらかな雰囲気に仕上げた。フェミニンな印象を与えたのは、ライトブルーのフラワープリント。スカートやワンピースに用いられ、歩くたびに風を感じ揺れ動くさまは、おだやかな春の訪れを感じさせた。
落ち着いた色みのコーディネートにアクセントを加えたのは、ピンクやパープルのサングラス。その優しいカラーは肌馴染みがよく、装いと同様ウェアラブル。さらに、2015年メンズコレクションでも展開された、折り紙からインスピレーションを得たバッグは、合わせるアイテムを選ばないベーシックなカラーで登場した。
全体的に突飛なアイテムはないが、立ち襟のようなロールネックや胸元を装飾したビブ・フロントなどは、どこか懐かしさを感じさせる。こういった細部へのこだわりは、伝統的なスタイルを継承しつづけるポール・スミスだからこそ新鮮さを与え、魅力的に映った。