パラトレイト(paratrait)の2025-26年秋冬コレクションが2025年3月21日(金)、東京・京橋の戸田ビルディングにて発表された。
パラトレイトは、ロンドンにてアレキサンダー・マックイーン(現:マックイーン)やバーバリーのトラディショナルウェアの経験を積んだ坂井俊太が、2023年にスタートしたファッションブランド。ブランド名の由来である"PARALLEL PORTRAIT"をコンセプトに、パフォーマンスウェアの技法を用い、トラディショナルウェアを再構築したプロダクトを展開している。
今季のインスピレーション源となったのは、ネパールの宗教都市であるカトマンズ。ヒマラヤの山々に囲まれたカトマンズには、至るところに小さな寺院があり、古代仏教や山岳崇拝が深く信仰されている。そんな山や自然を信仰を崇拝するカトマンズと、日本の神道との親和性をコレクションで体現していく。
天井から1本のレッドライトが降り注ぎ、初となるランウェイショーがスタート。ライトは、モデルが次は観客に生まれ変わる“輪廻転生”をイメージした蜘蛛の糸だという。そんな死生観が最も現れているのが、刺し子を連想させるジャケットだ。コンピューターに刺し子を読み込ませてジャカート生地にした後、ブラインダーにかけて味のある表情へと仕上げた。
スウェットトップスにヒビ割れた地面を3Dプリントしたり、スタンドカラーのジャケットに独特の光沢感をもつレザーを採用したり…。パラトレイトの代表的なアイテムのひとつであるデニムパンツは、繊細な色落ちとアタリによってどこか洗練された様相さえ感じさせる。退廃的なデザインと最新技術を組み合わせることで、日々巡っている死生観を衣服に投影した。
坂井が得意とするスポーツウェアから派生したダウンジャケットも見逃せない。ノースリーブのダウンは、パラトレイトではおなじみのスリットカラーが特徴的。それと相反して胸下のキルト部分のみ山型にし、シャープな印象を引き出した。さらに天狗の鼻から着想を得たという、棒状の中綿ダウンマフラーもルックをユニークに彩った。
ラストに続いた2つのルックに見られるのは、チベットの伝統文様を再解釈したアウターだ。ポリエステルのニット糸に細く切ったウルトラスエードを差し込むというテクニカルな方法で、ニュー・トラディショナルを提案した。